さざなみ
◆種別:特急
◆区間:東京~君津・館山(1日6往復)
来たる3月14日のダイヤ改正では北陸新幹線の開業や寝台特急「トワイライトエクスプレス」の廃止、「北斗星」の臨時化、上野東京ラインの開業などが大きな話題になっています。
そんな大ネタに隠れて私個人的に気になっているのが、房総特急の縮小傾向が止まらないことです。その中でも特急「さざなみ」の減便および区間短縮は少なからず驚きました。現在のダイヤでは「さざなみ」は1日6往復運転されていて、そのうち3本が君津発着で9本が館山発着で運転されています。それを1日8本(下り5本、上り3本)に減らしたうえで、全列車を東京~君津間の運転とすることが発表されました。
(館山駅)
東京湾アクアライン経由の高速バスの攻勢に対して、「さざなみ」が防戦一方だったことはもちろん知っています。しかし、今回のダイヤ改正ではその防戦も止める判断をしたのだと感じました。とりあえず東京~館山間で比較をしてみます。
本数/日 最速所要時間 運賃 東京発始発 最終
「さざなみ」 4.5往復 1時間51分 4130円 7:30 20:30
高速バス 27.5往復 1時間48分 2500円 6:30 23:00
「さざなみ」は通常期の指定席特急料金で、高速バスは割引なしの正規運賃です。「さざなみ」は「房総料金回数券」を使用すれば800円ほど安くなります。バスは概ね30分間隔で走っていますが、「さざなみ」は臨時列車を除くと朝7:30の1号の次は17:30の7号まで10時間も間隔が開きます。また、バスはこの他に新宿・羽田空港や横浜発着の設定もあります。こんな状態なので「さざなみ」が高速バスに勝つどころか、競争相手にさえなれていないのがわかるかと思います。
「さざなみ」は昭和47年に東京・新宿~館山・千倉間の特急列車として運転を開始しました。平成9年の東京湾アクアライン開通までは比較的堅調に推移していたと記憶していますが、高速バスの攻勢に対して徐々に劣勢になっていき、本数を減らしていきました。このきっぷのような千倉駅までの運転も最近ではほとんど見られなくなりました。
館山発着の「さざなみ」の廃止を受けて、館山市・商工会議所・観光協会の三者で連携してJR東日本に対し復活要望を出しました。また、館山市議会も「さざなみ」の存続要望の決議を全会一致で可決しています。JR東日本は要望に対し、大幅な利用減が続いたための廃止で、利用状況を踏まえたうえで今後の判断したいとしています。
個人的にも今の「さざなみ」のままでは衰退の一途だと思います。以下のようなテコ入れ策を考えてみたことはあります。
- 座席指定制か定員制の快速列車にする。
- 「えきねっと」を活用した割引の拡充。
- 総武線経由に戻す。
- 京葉線経由を続けるのであれば新木場駅に停車する。
1は全体の料金を下げるとともに運賃+αの収入を狙ったものです。2は既に3~4割割り引く「トクだ値」をやっていたかと思います。3はもともと「さざなみ」は総武線経由で運転されていましたが、特急「成田エクスプレス」の運行開始に伴い追い出されるような形で京葉線経由に変更となっています。京葉線の東京駅は地下深いため乗り換えが不便ですし、総武線経由だと県都・千葉駅を通るメリットもあります。4は新木場駅は東京メトロ有楽町線やりんかい線との接続駅であり、乗り換え需要を拾えるのではないかと感じたからです。
でも、この程度のことはJRの方でも検討した上でボツになったんだと思います。結局のところ妙案は簡単には浮かばないといったところでしょうか。このままではそんなに遠くない将来、列車自体が廃止になる可能性もあると思います。
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