ハローキティ和歌山
◆種別:快速
◆区間:串本~新宮
昨年9月から12月にかけて「和歌山ディスティネーションキャンペーン」(和歌山DC)が開催されました。その関連で団体専用列車で「トワイライトエクスプレス」や「サロンカーなにわ」の車両が紀勢線に乗り入れて話題になりましたが、もう一つ話題になった列車がありました。SmartBESTが快速「ハローキティ和歌山」号として紀勢線・串本~新宮間で初めて営業運転されたことです。
(紀勢線・紀伊勝浦)
SmartBESTは近畿車輛が開発を進めている充電型バッテリー車両です。列車番号の末尾はDだったので、気動車扱いのようです。落成後の平成24年からJR西日本・JR四国管内で何度か散発的に試運転されてきましたが、初めて営業列車に充当されました。
「ハローキティ和歌山」の運転期間は9月13日~12月14日の土休日と3ヶ月にわたりました。新宮を拠点に以下のダイヤで串本~新宮間を2往復設定されました。1・3号は大阪からの特急「くろしお」と接続していました。逆に名古屋からの特急「南紀」との接続はあまり考慮されていませんでした。
串本 新宮
2号 10:54 ← 9:59
1号 11:20 → 12:15
4号 14:04 ← 13:10
3号 14:32 → 15:37
いろいろ調べましたが、ハローキティと和歌山がどういう関わりがあるのかはわかりませんでした。私はハローキティにはまっっっったく興味はなかったんですが、初めて営業運転を行うSmartBESTという乗り物には非常に興味があったので、浮くのを承知で乗りに行ってきました。
首都圏在住の私が1号に乗るためには、朝一番の新幹線に乗っても間に合いません。そのため、飛行機で羽田から南紀白浜空港まで飛んで、白浜駅から「くろしお1号」に乗車し始発の串本駅まで行きました。
指定は念のためe5489で事前申し込みをしておきました。10時打ち必須というほどではありませんでしたが、当日には満席になっていたので、それなりに人気はあったようです。ハローキティの絵柄が入った新宮列車区のチケッターに注目です。右の画像を拡大するとわかりますが、コピーライトが入っているので、このためにわざわざサンリオから許諾を取ったようです。 でも、どうせなら重ねないように押して欲しかったなぁ…>車掌殿
車両はSmartBESTの全面にこれでもかと言うぐらいにハローキティのラッピングがしてありました。ダメ写真なのでわかりにくいですが、和歌山の観光地と一緒に描かれていたようです。
車内は山側がハローキティのカバーがかかった転換クロスシートで、海側は海に向いたベンチシートになっていました。指定を発売していたのは転換クロスシートのみだったので定員は少ないです。ベンチシートは自由に利用できました。内装はどこか225系に似ていたので、部品を共用していたのかもしれません。
客層はほぼ女性客で占められました。しかも、ほとんど40代以上で、私が想像していたより年齢層が高かったのが意外でした。 ハローキティはその辺りの世代が若いころに流行り始めたからでしょうか?また、ハローキティは外国でも認知度が上がっているようで、外国人旅行客も少しだけいました。それにしても日本人でもあまり知らないこんな列車をよく調べてくるものです。
車内から見た運転席の様子です。ドアや妻面にまでハローキティの装飾がしてありました。ドア上のディスプレイには発電量や燃料消費量を示すパワーフロー情報が表示されていました。
駅で停止状態の際のパワーフロー情報です。燃料消費が0で、発電機やコンバータも停止しています。蓄電池から電気を消費しています。
走行時はディーゼルエンジンで発電してコンバーターに電気を供給し、電気で動きます。ディーゼルエンジンが回っていながらも、走行している感覚は電車に近いという不思議なものでした。既に実用化されJR東日本の烏山線で走っている"ACCUM"は停車中に架線から電気を供給し蓄電池に溜めていて電気で列車を動かしているので、機構が違うのがわかります。
走行中のパワーフロー情報です。マスコンが3ノッチに入り発電機が稼働し、コンバータからインバータに電気を供給し列車を動かしています。同時にコンバータから蓄電池に充電を行っている様子がディスプレイの情報から読み取れます。
(快晴の太平洋:那智勝浦町付近)
外の景色ももちろん見ていて少々の写真は撮っていたんですが、どちらかと言うと乗り物に興味があったので、乗車中は運転席付近に陣取ってほとんどパワーフローのディスプレイを見ていました。
「ハローキティ和歌山」号の運転終了後はSmartBESTは近畿車輛に返却されています。今回の運転はデータ取得を目的とした試験走行の要素も多分にあったかと思います。
SmartBESTとACCUMの運行コストの違いについての情報は持ち合わせていませんが、ACCUMは停車中に充電できる地上設備が必要なのに対し、SmartBESTは地上設備は不要なので、より閑散路線に向いているという印象を受けました。実用化はもう少し先になるようですが、再度このような観光列車として走ることがあるのか注目しています。
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