秋田内陸縦貫鉄道端末券
今年のGWに数年ぶりに秋田内陸縦貫鉄道(以下「秋田内陸線」)に乗ってきました。日本有数の過疎地&豪雪地帯を走る路線で、常に存続問題が付いて回る路線です。私ひとりが行くことでどうなるわけでもありませんが、久々に乗ってみようかなと思い立った次第です。
乗った列車はGW中に角館~弘前間で直通運転された快速「弘前お城とさくら」号です。秋田県有数の観光地である角館と日本有数の桜の名所である弘前を直通で結ぶ臨時列車です。
車両はAN8900形でした。かつては急行「もりよし」の専用車両でしたが、平成24年のダイヤ改正で定期運用は離脱し1編成だけ残っています。現在はこのような臨時列車や団体・貸切列車として運用されています。バブル期に製造された車両だけあって、前面展望やサロン席にトイレ・自動販売機もあって、かなり意欲的な車両です。
ところで、AN8900形は平成元年製で前回の全般検査が平成15年9月でした。休車を挟んでいたとしても、遠くない将来に次回の全般検査を迎えるはずです。この会社に波動用車両のために全般検査を通すお金はないでしょうから、AN8900形がどうなるかは予断を許さないと思います。寄付金を募って内陸線に新型車両を寄付しようという動きがあるようですが、私はそれをやるならAN8900形など既存車両の延命か中古車両の購入に充てる方がいいように思います。
普段走らない第三セクターのディーゼルカーが電化されたJRの本線を走るネタはどう考えても面白いと思ったんですが、あまり注目されていませんでした。私が乗った弘前行は前面展望から夕焼けの岩木山が見えました。こういうアングルで車内から岩木山が見られるJRの車両はないので、なおさら面白いと思いました。
「弘前お城とさくら」号に乗るために、JR連絡券を購入しました。かつては補充券でしたが、このような端末券が導入されていました。画面に連絡運輸範囲内にある駅が一覧表示されていて、弘前までの乗車券もワンタッチで発券してくれました。急行券や自社線内はエドモンソンサイズのきっぷでした。おそらく、券紙や印字の感じからして富士急で導入されている端末と同じだと思います。
秋田内陸線は年間の経常赤字2億円以内を経営目標としています。2億円は秋田県と沿線二市が補助金を出す上限額です。昨年度、それをわずかに超えてしまい、秋田県知事が廃止に言及しました。今年度はそうならないよう増収・経費削減に努めるでしょうが、綱渡りの状況は変わりません。
上の連絡券の秋田内陸線部分の距離は94.2Kmで運賃は1670円です。この距離でJRと平成18年に廃止になった北海道ちほく高原鉄道(ふるさと銀河線)の運賃と比べてみます。ふるさと銀河線は人口希薄地帯の寒冷地を走り、運行距離が長かったことが秋田内陸線に似ているので比較対象としました。
運賃区分 | 運賃 |
JR本州三社・幹線 | 1660円 |
秋田内陸線 | 1670円 |
JR四国・幹線 | 1810円 |
JR九州・幹線 | 1820円 |
JR北海道・幹線 | 1840円 |
JR本州三社・地方交通線 | 1850円 |
JR北海道・地方交通線 | 2050円 |
ふるさと銀河線 | 2430円 |
秋田内陸線はJR本州三社の幹線水準の運賃です。三島会社の幹線運賃より安いです。ふるさと銀河線は秋田内陸線の1.5倍近い運賃ですが、結果的に廃止に追い込まれました。
値上げをしないで経営改善できれば理想ですが、秋田内陸線はそんな悠長なことを言っていられる状況ではないはずです。値上げは一時的に利用客が減るかもしれませんが、(上げすぎなければ)増収にはなります。これまで適切なタイミングで値上げしなかったのは、増収の努力を怠っていたと言われても仕方がないと思います。
私がこれまで秋田内陸線に乗ったのは春・夏・冬で、秋はまだ乗ったことがありません。秋は沿線の紅葉が素晴らしいと言われていますので、今年は無理そうですがいつか行ってみたいと考えています。それまで鉄路が存続していて欲しいものですが…。
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