SL函館大沼号
◆種別:快速
◆区間:函館~森
ここ2~3日のことですが、JR北海道が平成13年からGWと夏に運行している快速「SL函館大沼」号の運転を今年で取りやめるという報道が流れました。JR北海道の幹部から沿線の七飯町に対してその旨の通知があったそうです。
平成17年の福知山線脱線事故後、国交省は急カーブでの速度対策として機関車に新型ATSの設置を義務付ける方針で、SLについても例外はでないそうです。その設置工事には数億円かかるそうで、昨今続発した事故で安全対策に待ったなしのJR北海道としては、その費用をねん出する余裕がないというのが最大の原因のようです。また、再来年春には北海道新幹線の新函館北斗開業が見込まれているため、その準備のために人的資源を集中したいという談話の記事もありました。
「SL函館大沼」とともに「SLニセコ」、「SLはこだてクリスマスファンタジー」も取りやめるそうですが、「冬の湿原」だけは取りやめの対象にはなっていません。なので、2機あるC11のうち1機は退役させるとと思われるものの、JR北海道からSL列車がなくなるというわけではなさそうです。
(10周年サボ)
私は3年前のGWに1回だけ乗っていました。ちょうどその年は10周年だったので記念のヘッドマークやサボも取り付けられていました。
[DL][車掌車][14系][14系][カフェ][14系][SL) (森→)
この時の機関車はC11-207で、客車は14系の改造車でした。編成は「SLクリスマスファンタジー」と全く同じで、旧型客車のカフェカーに函館寄り最後尾に車掌車(緩急車)が連結されていました。
GWの最中でしたが、前日でも窓側の指定が取れるぐらいでした。実際の車内も半分程度の乗客で、のんびりゆったりとしていました。特急列車では距離が短い大沼公園経由であっという間にぶっ飛ばしてしまうところでも、この列車は駒ヶ岳を取り囲む鹿部経由の大回りルートをゆっくり走るので、駒ヶ岳の雄大な景色をじっくり楽しむことができました。
(車窓からの駒ヶ岳)
60Kmちょっとの距離を2時間近くかけて走っているので、表定速度は時速30Km程度です。停車時間を考慮するともう少し速いかもしれませんが、大してスピードが出ていないことは確かです。安全対策は決して疎かにしてはいけないと思いますが、30Km程度で走るSLに対しても何億もする新型ATSを義務付ける必要があるのかは疑問に感ずるところです。もう少し費用のかからない別の安全対策があっていいと思います。どうもお上が「安全対策」という錦の御旗のもとにがんじがらめに縛っている感が拭えません。
前回乗った印象が良かったので、また機会があれば乗りたいと思っていた矢先の運転取りやめの知らせで、残念ではあります。七飯町はJR北海道からの通知に対し猛反発して再考を求めたそうですが、運行するJR北海道のお金に余裕がなくてお上がやれと言っている対策ができないわけですから、現状はもう詰んでいます。今までのようにゴネても何も出てきやしません。運行継続にはATS設置費用を肩代わりするか、政治的にお上を動かして特例を認めさせるしか選択肢はないと思います。
個人的には退役するC11は廃車にはせずに、どこか動態保存の意欲のある会社に無償貸与した上で維持管理も委託し、何年か先にJR北海道にいくらか余裕が出てきた際には再び北海道で走らせることができればいいなと思っています。
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