富士
◆種別:特急
◆運転区間:東京~大分(1日1往復)
今度の3月のダイヤ改正で寝台特急「富士」と「はやぶさ」が廃止となります。これで九州を発着するブルートレインは全廃となります。関西~九州間は一足早く昨年春で廃止になっています。個人的には平成23年の九州新幹線博多開業までは残ると思っていただけに、意外に早い幕切れに感じました。
「富士」という愛称は昭和9年に東京~下関で運転されていた列車に愛称を付けたもので、日本で最初の愛称付き列車です。戦争激化によって一旦廃止となりましたが、昭和36年に東京~神戸・宇野間の特急列車として愛称が復活し、東京~大分間の寝台特急になったのは昭和39年のことです。
翌年には日豊線経由で西鹿児島(現:鹿児島中央)まで延長され、日本最長距離の特急列車となりました。その後九州側の発着駅が西鹿児島→宮崎→南宮崎と変遷し、平成9年になって昭和39年時点と同じ大分発着に戻りました。平成17年の「さくら」の廃止に伴って、単独運転から東京~門司間は「はやぶさ」と併結され、門司駅で分割・併合されるようになりました。
JR発足当時、東京と九州を結ぶブルートレインは宮崎行の「富士」以外にも博多行「あさかぜ」(1・4号)、西鹿児島行「はやぶさ」、長崎・佐世保行「さくら」、熊本・長崎行「みずほ」がありました。しばらくは本数が減ることなく維持されましたが、平成6年12月に「みずほ」が廃止になって以来、徐々に本数や行き先を減らしていきました。残った列車も併結されるようになり、愛称としては残っても途中まで同じ列車で運転されていました。
(EF66:東海道線・熱海)
(ED76:日豊線・大分)
客車はJR九州熊本車両センター所属の14系で、機関車は東京~下関間がJR西日本下関車両管理室所属のEF66、下関~門司間がJR九州大分車両センター所属のEF81、門司~大分間が同じく大分のED76です。ヘッドマークは併結運転区間と単独運転区間で違うデザインになっています。特に単独運転の山形のデザインは独特のものです。
設備は開放型のB寝台4両とB寝台1人用個室(ソロ)とA寝台1人用個室(シングルデラックス)が1両ずつの6両で、「はやぶさ」と共通の編成です。かつては食堂車やロビーカーも連結されていましたが、今や寝るだけの設備しかありません。車内販売は下り列車は徳山~門司間(「はやぶさ」では博多まで)、上り列車は名古屋~東京間しかないため、乗る前に食事を済ませるか食べ物を買っておかないと長時間空腹と戦う羽目になります。
廃止まで1ヶ月を切りましたが、上り下りとも空席はほとんどありません。開放型のB寝台はキャンセル待ちをかければ何とか取れますが、個室寝台は1ヶ月前の10時に即売り切れとなり、プラチナチケット状態です。そんなプラチナチケットがヤフオクで何倍もの値段で取引されていていつも嫌な気分になります。
私が初めて乗った寝台列車はこの「富士」のソロでした。なかなか乗れないでいましたが、昨年から今年にかけて仕事や私用で九州へ行く機会が多く、ここ1年はよく乗りました。でも、普通の社会人の私にはどうしても時間に制約があって、全区間乗れたのはたった1回だけです。客層は鉄ヲタ以外にも子供連れや高齢者のグループが目立ちました。高齢者にとっては例え時間がかかっても目的地まで一本で行くことができ、寝台で足を伸ばして過ごせる方が楽なようです。
廃止後も盆暮れの臨時列車として残して欲しい気はします。ただ、客車は老朽化がかなり進んでいて、廃止後は早々に廃車にするんじゃないかと思います。また、機関車も旅客会社が保有しているにもかかわらず定期旅客運用がなくなるので、余剰廃車になるか貨物会社への譲渡が発生するかもしれません。だから期待はしつつも実現性は薄いかなと感じています。
こんなに早くなくなるならもう少し乗っておけばよかったです_| ̄|○
【追記:09/3/15】
3月14日で廃止になったのでカテゴリーを変更しました。
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