相模線合理化
相模線の営業体制の合理化が急ピッチで進んでいます。もともと利用客が両端の橋本・茅ヶ崎寄りに集中する傾向があったため、中間駅の営業体制は若干手薄でした。それでも大半の駅にはPOS窓口はあって、日中は係員がいる状態が続いていました。
下の表は相模線の営業体制の時系列での推移です。各月末日の状態を示しています。セルに色が付いているのは何かしらの窓口がある状態です。セルが白い青字は係員はいる状態、赤字は無人状態を表します。
H19/5 | H19/6 | H24/3 | H26/12 | H28/2 | H28/3 | |
橋本 | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり |
南橋本 | みどり | みどり | 出札なし | 出札なし | 出札なし | 出札なし |
上溝 | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり | 出札なし |
番田 | POS | POS | POS | POS | POS | 遠隔 |
原当麻 | POS | POS | POS | POS | POS | 出札なし |
下溝 | POS | POS | POS | 出札なし | 出札なし | 遠隔 |
相武台下 | POS | POS | POS | 出札なし | 出札なし | 遠隔 |
入谷 | 無人 | 無人 | 無人 | 無人 | 無人 | 無人 |
海老名 | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり |
厚木 | 社線委託 | 社線委託 | 社線委託 | 社線委託 | 社線委託 | 社線委託 |
社家 | POS | POS | POS | 出札なし | 出札なし | 遠隔 |
門沢橋 | 出札なし | 出札なし | 出札なし | 出札なし | 出札なし | 遠隔 |
倉見 | POS | POS | POS | POS | 遠隔 | 遠隔 |
宮山 | POS | POS | POS | 出札なし | 遠隔 | 遠隔 |
寒川 | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり |
香川 | みどり | みどり | みどり | みどり | 出札なし | 出札なし |
北茅ヶ崎 | みどり | 出札なし | 出札なし | 出札なし | 出札なし | 出札なし |
茅ヶ崎 | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり | みどり |
平成19年6月の北茅ヶ崎駅、平成24年3月の南橋本駅のみどりの窓口が閉鎖されましたが、POS窓口の合理化は手つかずでした。ちょうどJR東日本の社内でも都市部のみどりの窓口の閉鎖に注力していた時期でした。
そんなPOS窓口の体制が大きく動いたのは平成26年12月でした。一気に4駅のPOS窓口が閉鎖され、改札のみの駅となりました。さらに今年2月~3月にかけて上溝・香川のみどりの窓口と、残っていた3駅のPOS窓口が一気に閉鎖されました。これによりPOS窓口はすべてなくなり、出札がある中間駅は海老名・寒川の2駅だけになってしまいました。
POS窓口が閉鎖になる前日の倉見駅へ行ってきました。倉見駅は神奈川県寒川町にあり、駅のすぐ南で東海道新幹線と交わります。以前はここに東海道新幹線の新駅を造る運動もありました。私は湘南地域に住んでいた頃、東海道線~中央線の行き来によく相模線を利用していました。ただ、海老名駅以外は途中駅で乗り降りすることはなく、倉見駅も初めて降りました。
入場券と2日後に使う予定だった自由席特急券を購入しました。駅員はどこか手持無沙汰だったようで、窓口でこちらの顔を見るなり「入場券?」と聞いてきました。私にそういう雰囲気が出ていたのかは分かりませんが、POS窓口閉鎖を前に買いに来る人が多かったようです。
倉見駅には「簡易発売窓口の営業終了について」という掲示がありました。2月12日で窓口営業を終了し、定期券は2月21日から設置する多機能券売機で購入できるようになる旨が記載されていました。上の窓口の写真の青いパネルがはまっている部分が多機能券売機を設置するスペースです。
その後、2月21日に多機能券売機が設置されると同時に倉見駅は隣の宮山駅とともに、茅ヶ崎駅の遠隔管理のもとで無人化されました。遠隔管理は昨年3月に同じJR東日本横浜支社管内で伊東線中間駅に導入されて以来です。私が訪ねたPOS窓口閉鎖前日の時点で、9日後の無人化の案内はありませんでした。
相模線はもともと非電化のローカル線でしたが、沿線人口の増加に伴って平成3年に電化されました。その後、順調に輸送人員を増やしていましたが、平成21年から減少に転じています。そんな中で合理化が必要という判断をしたんだと思いますが、通勤通学輸送が主体の相模線でも伊東線と同じことをやったのは驚きを禁じ得ませんでした。
管理駅 | 被管理駅 |
橋本 | 南橋本~相武台下、社家、門沢橋 |
茅ヶ崎 | 倉見~北茅ヶ崎 |
ちなみに遠隔管理は茅ヶ崎駅のほか橋本駅でも行われ、管理・被管理の関係は上の通りとなっています。橋本駅の被管理駅である番田・下溝・相武台下・社家・門沢橋の各駅でも3月13日より無人化が実施されます。また、無人化されなかった駅でも早朝無人化は実施されているので、早朝の無人時間帯は無人駅と同じような遠隔管理を行うことになっています。
(下溝駅)
相模線はワンマン運転は行っておらず、車掌が乗務しています。ただし、車掌はドア扱いのみで、私が見る限り集札や車内改札は行っていません。また、遠隔管理となった駅に自動改札を設けたわけではなく、改札はそのままで係員がいませんからスルーパスです。悪いことをしてもバレません。
短期的には人件費や端末リース料の節約にはなるでしょうが、運賃を払って電車に乗るという当たり前の行為を蔑ろにするモラルハザードを誘発するような気がしてなりません。JR東日本の経営陣は自分の在任中の業績さえ良ければ問題ないと考え、そういった長期的な損失までは興味がないのでしょう。
相模線も酷いですが、根岸線や横須賀線でも同じような合理化が行われました。
洋光台駅の窓口閉鎖程度でしたが、既存窓口の営業時間短縮や早朝の無人化は新杉田・洋光台などで2月7日(日)より実施されました。
横浜市内の駅でこれですから、もう滅茶苦茶です。
投稿情報: TPG | 2016年3 月12日 (土曜日) 02時41分
少子高齢化社会で、本質的に利益を生み出しにくい鉄道業を完全民営化した、当然の帰結とも言えますよね。
このままいくと「駅には駅員がいて窓口で切符を買って電車に乗る」というスタイルは、過去の遺物となり果てるようです。寂しいですが、ノスタルジーでビジネスは成り立ちませんから。
投稿情報: SHIGE | 2016年3 月20日 (日曜日) 14時38分
>TPGさん
相模線や横須賀線の末端部ならまだしも、根岸線まで手を付けたのは少し驚きでした。
>SHIGEさん
私は合理化仕方ない流れだとは思いますが、今の状況はやはりちょっと行きすぎな感じがします。
無人化するにしても改札をクローズドにして遠隔管理する名鉄の駅集中管理システムのようなものは公平性の観点からも最低限導入すべきだと思います。
投稿情報: 今出川 | 2016年3 月28日 (月曜日) 21時19分