SL冬の湿原号
◆種別:普通
◆区間:釧路~標茶・川湯温泉
(C11-171での牽引・釧路駅)
「SL冬の湿原」は毎年1月下旬から2月にかけて釧網本線・釧路~標茶間で走っているSL列車です。昨今のJR北海道の不祥事により、管内のSL運行の全面的な見直しを行い、「函館大沼」や「ニセコ」など道内各地のSL列車が運転終了に追い込まれる中、「冬の湿原」だけは生き残りました。
この列車だけ運行が継続できたのはおそらく新型ATSの問題が絡んでいると思います。「高速線区又は高密度線区」ではSLを含む既存車両に対して平成28年6月末までの新型ATSの設置が義務付けられましたが、「低速線区かつ低密度線区」については実質野放しになっています。
「函館大沼」や「ニセコ」が走る函館本線は前者に分類され、「冬の湿原」が走る釧網本線は後者に分類されたため、「冬の湿原」だけ新型ATSの設置義務から逃れられ運行を継続できたのではないかと私なりに推測しています。
今年の1月にふと思い立って久しぶりに乗ってきました。毎年運行開始の第一週と第二週は川湯温泉発着となり、標茶~川湯温泉間が延長運転されたからです。釧路~川湯温泉間を通しで乗車し、釧網本線を北上して旭川まで抜けようと計画しました。
釧路駅に乗りこむ乗客の中に中国人を始めとする外国人観光客が多くいたのは隔世の感でした。よくこんな列車見つけてくるものです。この時の機関車はC11-171で、客車は14系の改造車といういつもの組み合わせでした。サボや記念乗車証の区間はちゃんと「釧路~川湯温泉」のものが用意されていました。
列車は真っ白の雪に覆われた釧路湿原を横目に釧網本線を概ね順調に北上しました。途中のところどころでは羽を休めるタンチョウヅルの姿も確認できました。摩周駅でSLを一旦切り離して整備を行うため、42分停車しました。
(摩周駅で切り離されたSL)
一番上の釧路駅の写真と比べてもらえれば分かるかと思いますが、穏やかな釧路からは一変して摩周駅近辺はすごい吹雪でした。しかも北海道らしからぬべたっとした重い雪でした。SLの停車中は車外に出て過ごす人が多いですが、ほとんどの乗客は車内か駅舎にいました。
駅では駅の係員や列車の乗務員がどこかと頻繁に無線でやり取りし、緊迫したムードに包まれていました。外の吹雪は一向に止むことがなく、線路の除雪がどうとか言っていたので、こりゃ摩周で打ち切りかな…と思っていたら、案の定打ち切りとなってしまいました。
せっかくなので、来年こそは川湯温泉行のリベンジを果たそうと思っていましたが、残念ながら来年は川湯温泉延長運転がない上に、運転開始も2週繰り下がって1月30日からとなってしまっていました。実質ほぼ2月だけの運転です。
現在、日本各地でSL列車が走っていますが、冬場は運休のものがほとんどです。真冬の雪の中を疾走し、北海道らしさを堪能できるのは「冬の湿原」ぐらいですから、ヒマと機動力と寒さに耐えられる気合がある方は是非乗ってみるといいかと思います。
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