武豊線集中旅客サービス
(東浦駅窓口+券売機)
昨年11月にJR東海は「武豊線への集中旅客サービスシステムの導入について」というプレスリリースを発表しました。この時点では導入時期を「平成25年秋」としていましたが、10月1日から導入されることが先日発表されました。
「集中旅客サービスシステム」(以下「新システム」)とは旅客利便性の向上のため、被管理駅に管理駅から遠隔管理できる自動券売機を導入し、管理駅の係員が券売機を介して問い合わせ応対やICカードのチャージなど旅客対応を行うシステムだそうです。もし、現地で何か対応が必要になった場合は管理駅から係員が駆け付けるそうです。管理駅は半田で、被管理駅は緒川・東浦・亀崎・乙川・東成岩・武豊の6駅です。被管理駅のうち乙川・東成岩の2駅は無人駅で、残る4駅は有人駅です。
私は一瞬JR東日本で撤去された「Kaeruくん」を思い出しましたが、あちらはみどりの窓口での発券業務を盛岡で遠隔集中管理しただけでした。それに伴って出札要員は減らしましたが、改札要員は残りました。
JR東海は「新システム」について無人駅や有人駅での休憩時間にも影響なく終日対応になるのでサービス向上になる点を強調しています。確かに無人駅ではその通りですが、有人駅にいる要員は撤収して無人化され、みどりの窓口がなくなるどころか駅業務全般を遠隔集中管理してしまうので、全体的には「Kaeruくん」とは比にならないサービス劣化になんじゃないかと予想していました。
そんなことを考えていたところ、ちょうど名古屋へ帰省する用事が発生しました。そのついでに導入前の東浦駅へ見に行ってきました。元愛知県民ですが武豊線に乗ったのは17年ぶりでした。
(設置準備中の券売機)東浦駅に設置準備中の「新システム」対応の券売機です。既存の券売機の右側にきっぷの内容を判別する読取機と読取台が設置されて、カバーがかけられていました。券売機左上の丸いものはカメラです。近距離券の発売やICカードの取扱はできますが、指定券類を発券する機能はないので、前出の「Kaeruくん」やJR西日本の「みどりの券売機プラス」とは根本的な思想が違います。
東浦駅の窓口で購入したきっぷです。係員に10月以降のことについて確認したところ、やはり無人化&みどりの窓口閉鎖とのことでした。これだけ大きな営業形態の変更があるにも拘らず、駅には自動券売機の使い方や集札方法を紹介するポスターが1枚貼られているだけでした。しかも、有人駅は無人化されることや、みどりの窓口がなくなって指定券類や新規定期券が購入できなくなり、大府駅や半田駅まで行く必要があることはしっかり読まないとわからないような内容でした。
過去にこういった駅無人化の話が表沙汰になると、駅利用者や地元自治体など関係者から反対の声が上がって一悶着したことが何度かありました。しかし、今回の件は反対の声や無人化ではなく簡易委託化する話が関係者から上がらなかったのが不思議でなりません。「新システム」導入と言うと聞こえはいいですが、結局のところ最終目的は合理化による無人化で、それを取り繕うための「新システム」だと思います。
JR東海では武豊線だけに留まらず、将来的には他線区にも「新システム」を展開するんだと思います。ここ2~3年で末端ローカル線の無人化・簡易委託化はほぼ完了しているので、小規模有人駅が点在する関西線(名古屋~桑名間)、太多線、身延線(富士~西富士宮間)、御殿場線(沼津~御殿場間)あたりが次なる候補になるんじゃないかと思っています。
また、10月以降に時間があれば武豊線を訪れて、「新システム」導入後の様子を見てみたいと考えています。
【どうでもいいことを追記】
この記事は忘れないうちに書いておこうと思い、名古屋の実家のPCを借りて仕込んでいます。丸8年で約1700本の記事がありますが、こうして前日の出来事をほぼ即日アップしたことはほとんどありません。
しかも、ファイルの加工やwebへのアップロードがどうもうまくいかないため、iPhoneで撮った画像を縮小→メールでGmailに送信→webメールで開いて画像をPCにダウンロード→PCでGmailに記事を書いて画像も貼り付け→メールで送信してアップ(自動公開)→いったん非公開設定→細部の修正・カテゴリーの追加→公開設定というとんでもなく面倒な手順を踏んでいます。いつも簡単にやっている作業でもPCとOSが違うとなかなか難しいです。きっぷの画像だけは後日スキャンしたものに差し替える予定です。(画像は差し替え済)
沿線自治体の東浦町役場のHP(http://www.town.aichi-higashiura.lg.jp/07bousai/jrservicesystem.html)では今回の集中旅客サービス導入により「導入駅で出来るサービスと出来ないサービス」について案内されていますね。
こちらでは簡素な駅ポスターとは対照的に無人駅化により長距離切符やお得な切符の購入。定期券の新規購入(磁気券は新規・継続とも)が出来なくなる旨も書かれております。
名鉄が無人駅に集中管理システムを入れますが、東海もそれを追随する形で武豊線に入れたような感じですね。
投稿情報: Nishikunitachi | 2013年9 月16日 (月曜日) 12時04分
武豊線に関しては、電化というアメがありますから、無人化を容易に受け入れたのではないでしょうか。
それに、地元は名鉄で慣れている気もします。
合理化は反対ですが、車内精算は時間がかかりますし、全てのドアから降りられるようになれば利便性は向上します。
他線区への展開といえば、ICカードを検討している愛知環状鉄道あたりが、そのうち導入するかもしれませんね。
投稿情報: naoto607 | 2013年9 月17日 (火曜日) 16時14分
システム的には名鉄と同様ですよね。
但し、
「長距離きっぷが買えなくなる」
「券売機も改札機も無い駅(尾張森岡、石浜)が残る」
のは、名鉄にはない問題ですね。
2027年リニア部分開業へのテストケース(中間駅に営業係員を置かない)の一環、というのは想像のし過ぎでしょうか…。
投稿情報: hachi | 2013年9 月17日 (火曜日) 23時32分
>Nishikunitachiさん
東浦町のHPを拝見しましたが、こちらの方が数段わかりやすいですね。JR東海のポスターは肝心のところをわかりにくく書いているのではと思ったぐらいです。
>naoto607さん
アメですか…。
確かに電化開業はアメですね。名鉄は10年も前から同じようなシステムを入れていますから受け入れやすい土壌があるのもわかります。
ただ、今回の「集中旅客サービス」は中途半端な感じがします。自動改札は設置していますが、自動改札非対応のきっぷだと、きっぷを集札箱に入れて自動改札はスルーパスになります。名鉄のように遠隔対応できっぷを確認して自動改札の扉を開閉する仕組みはありません。
これでは効率化はされるけれども、不正乗車が助長されるんではないかと感じました。
>hachiさん
武豊線全駅ではなく尾張森岡と石浜が導入対象外になっているのは不思議でした。無人駅でも導入される乙川・東成岩との違いはなんでしょうね。
リニア駅にこの形態を導入するかは何とも言えませんが、リニア建設に向けて在来線にも容赦なく効率化を進めているのは確かだと思います。
投稿情報: 今出川 | 2013年9 月18日 (水曜日) 00時34分
wiki画像等を見ると、尾張森岡と石浜の両駅には「駅舎」がありません。
名鉄の場合、駅集中管理システム導入駅には必ず券売機・改札機・精算機を納める為に、どんな小さな駅にも駅舎を建て(又は整備し)ました。
今回、東海は駅舎用地の確保に手間取っているので後回しにした、というのかもしれません。
投稿情報: hachi | 2013年9 月18日 (水曜日) 02時36分
名鉄は白沢が無人で、昔は車掌が幌無しの貫通路を渡る芸当も見ましたが、線路の状態も今とは……、システム導入も最近で本当に近代化だと思いますが。消費税の二度上げが予定されているので、どうせならいっきに工事してしまえといったところでしょうかね。電化で仮に利用が増えればサービスも改善されるといった方向であるのを念じます。
投稿情報: 鎌田純 | 2013年9 月20日 (金曜日) 00時57分
PDFを見ると、「きっぷの精算が必要な場合や自動改札機に対応していないきっぷをお持ちの場合等は、
インターホンを通してオペレーターがご案内します。」と記載されてあるので、恐らく精算機とインターホン、確認カメラ、回収箱が一体型になったものが置かれるのでは無いでしょうか、遠隔機能付きで。
石浜と尾張森岡ですが、簡易型券売機を置けるスペースはありますし、武豊線車掌は乗車券を売りに来ないようなので、今回のシステム導入をきっかけに券売機を置いてもいいんじゃないかなと思います。
あとは・・・石浜の集札体制だけが心配ですね・・・。武豊行きホームは名古屋側に連絡階段がありますが、そこにIC簡易改札機を置けば問題無いのですが・・・。
投稿情報: MaiIbarakiJPN | 2013年9 月21日 (土曜日) 11時19分