鋏のはなし
そう言えば最近JRの駅できっぷを切る「鋏」をめっきり見かけなくなった気がします。と言っても平成生まれにはピンとこないかもしれませんが…。
私が小僧の頃のある日、名古屋駅に行ったときに異変に気づきました。確か平成2年の春ごろのことだったと思います。当時、改札口の駅員は手持ち無沙汰なときに鋏をカチカチとリズミカルに鳴らしていたものです。子供心ながらちょっとカッコイイなと思っていました。ところが、駅員はいつもどおりいるのにその音がまったく聞こえませんでした。そして、鋏に変わってチケッターが登場していました。
鋏だったら複数枚のきっぷを重ねて一回で切ることができましたが、チケッターは一枚一枚押さなければならないので面倒臭そうだなというのが第一印象でした。ただ、そういった私の第一印象とは裏腹にスタンパーは徐々に全国へ広まり、今では鋏なんてほとんど見かけなくなりました。
(A型軟券)
当時の改札口にはきっぷを鋏で切った切り屑が無数に落ちていました。都度駅員が掃いていましたが、チケッターだと切り屑が発生しません。また、当時大都市圏で自動改札化が本格的に始まろうとしていました。鋏で切ることによってきっぷの磁気情報を損傷してしまうということがありえたのかもしれません。いろいろ推測してみますが、結局のところチケッターが鋏を駆逐した理由は私にはわかりません。
私がJRの駅できっぷを鋏で切られたのは2年前のこれが最後で、磐越西線・徳沢駅のものです。探せば他にまだあるかもしれませんが…。
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