上今井駅無人化
(上今井駅:平成26年5月)
7月末で飯山線・上今井駅が無人化されました。上今井駅は地元の長野県中野市が受託する簡易委託駅でした。不思議なことに飯山線の長野側の駅には乗降客数の割に簡易委託駅が多く存在しています。私が初めて当地を訪れたのは無人化が発表される前の今年5月のことでした。
(信州五岳の一部と隣接の駐車場)
ホームに降り立ったら目の前に信州五岳がそびえていて、空気も良くてなかなかいいところだなぁというのが第一印象でした。
(乗って残そう公共交通)
驚いたのが当地の公共交通に対する意識の高さです。「乗って残そう公共交通」「飯山線 長電バスを守る会」という看板が駅周辺に至る所にありました。地元の別の団体が寄付したと思われる木製のベンチやきちんと清掃された公衆トイレもありました。また、上の写真のように上今井駅の利用者向けに2~30台は置けそうな駐車場が整備されていました。公共交通が必要で残したいというのであれば、他人頼みにせずまずは自分たちで主体的に動こうという意識が現れています。
(待合室にあった貼り紙)
無人化が発表される前までは待合室にこんな貼り紙もありました。売り上げは発売手数料に直結しますから、きっぷを発売する側も気合が入っていました。自社のきっぷですら発売拒否する首都圏のアホ駅員に100回読ませたいぐらいです。
上今井駅は長野県中野市にあります。もともとは豊田村で、平成17年に中野市と合併しています。隣の替佐駅とともに豊田村時代から簡易委託駅として続いていました。豊田村は村内2駅とも簡易委託にしていたので、その辺の意識は豊田村の頃からのものでしょう。
上今井駅の無人化はおそらく予算的な問題で上今井・替佐の両駅の簡易委託の維持が難しくなったことに加え、市の中心部に長野電鉄が通る中野市の一部となってしまったため、飯山線の優先順位が相対的に下になってしまったという事情があったんじゃないかと思います。
上今井駅にはマルスやPOS端末はなく、すべて常備券や補充券での発売でした。上の貼り紙に「時間に余裕をもってお早めに」とあるのはそのためです。
上今井駅の近距離乗車券の代表的なものです。金額式はなく、このような一般式のものばかりでした。逆に隣の替佐駅には金額式もありました。
こちらは往復乗車券です(クリックすると拡大します)。いまどき珍しくなったクーポンサイズの常備券です。もう長野近辺以外ではほとんど見かけなくなりました。上今井駅からは長野、三才・北長野、飯山・北飯山の3区間がありました。
青地紋の長距離乗車券もありました。確か大宮・浦和、東京都区内、名古屋市内の3区間ありました。上今井駅にはチケッターはなく、このチケッターは長野駅の新幹線乗換改札で押されたものです。
常備券のない区間への乗車券はこのような片道補充券(補片)が登場しました。このきっぷは上今井発の乗車券なので発駅常備ですが、全国の乗車券を発売するという触れ込みだったので、発駅が印刷されていない発駅補充の補片もあったんだと思います。
また、これも全国的に珍しくなった長野からの新幹線自由席特急券の発売もありました。大宮、上野、東京の3区間がありました。4月から有効日数が2日から1日に変更になったため、「発売当日限り有効」が反映されています。
常備券のない区間の特急券は料金補充券(料補)が登場しました。確か名古屋までの常備の自由席特急券はあったと記憶していますが、さすがに名古屋までは用事がなかったので塩尻までの補充券で済ませました。料金をどこかに電話して確認したうえで発券していました。
上今井駅には私のようにきっぷを買いに来ていた人を多く見かけました。同じ到着列車に3人居たこともありました。無人化を前に常備券の一部は売り切れにもなっていたぐらいです。委託のじいさんはなかなかの商売上手で、実使用も含め結構な額を散財してきました。
(取り壊される現駅舎)
(新駅舎イメージ図)
なお、北陸新幹線・飯山駅が開業するのに合わせて飯山線の老朽化した駅をリニューアルするとかで、上今井駅もこのような簡素な駅に建て替えられるそうです。開業時の大正9年に建てられ、長くこの地を見守ってきた現在の駅舎も見納めとなります。「悠久の流れ千曲川の移り変わる四季と唱歌ふるさとの情景」をコンセプトとありますが、それだったら金かけて公衆便所の出来損ないのような駅舎に建て替えるよりは今のままの放置しておいた方がコンセプトに合うと思います。
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