相模鉄道車内精算券
昔は関東の私鉄でも有料優等列車でなくとも、ドア扱いとは別に精算業務を行う車掌が乗務している列車がありました。主に回数券や定期券での乗り越しや連絡会社線にまたがる精算を行っていたと記憶しています。
関東では以下のような時期に先払い式のプリペイドカードやICカードが導入されました。
- 平成 3年 3月…イオカード発売(JR東日本)
- 平成12年10月…パスネット発売(私鉄各社)
- 平成13年11月…Suica発売(JR東日本)
- 平成19年 3月…PASMO発売(私鉄各社)
PASMO発売まではいずれのカードもJR東日本⇔私鉄各社の相互利用はできませんでした。パスネットが発売されるまでは乗車区間が決められたきっぷか定期券のみだったので、精算業務はそれなりに発生していたと思われますが、パスネットは運賃を先払いし、下車時に残額から精算する方式なので、JR連絡や定期券の区間外精算を除き車内精算の必要性が大きく薄れました。パスネット導入の少し前あたりから車内精算を行わなくなった会社が多かったと記憶しています。
平成19年のPASMO発売とともにSuicaと共通利用を開始し、一枚のICカードさえあればJR東日本・私鉄の両方を利用できるようになりました。 定期券情報もICカードに乗せられるようになったので、車内精算の必要性がほとんどなくなってしまいました。
前置きがとても長くなりましたが、相模鉄道(相鉄)は最近まで車内精算を行っていた数少ない関東私鉄の一つです。今年3月末で車内精算業務を終了しました。あまり遭遇したことはなかったんですが、主に平日日中の本線の急行に乗務していたようでした。
車内精算では車掌が小型端末を携帯していて、発売していた券はこのようなものでした。相鉄線内から横浜接続のJR連絡券です。見ての通り自動改札に対応している磁気券です。券紙の色の違いは単に時期の違いだと思います。
特筆すべきはこのようなJR単独券の発売もできたことです。券面左上に(相模鉄道)と印刷されていますが、紛れもなくJR単独券です。JR線でなくとも、海老名駅からの小田急の乗車券を発券してもらったこともあります。同じように大和や湘南台からの小田急線や横浜からの東急線や京急線の単独券の発売もできたのかもしれません。
車内精算を行う列車では「横浜駅の券売機が混み合いますので便利な車内精算をご利用ください」という車内放送がありました。確かにそうなんですが、首都圏ではほとんどの人がICカードを使用しているのが現状ですので、「旅客専務」の腕章をした車内精算専門の車掌もどこか手持無沙汰な感じはしました。
この3月末で車内精算をやめたのはそもそも車内精算を利用する客が減っているのと、消費税増税に伴う運賃値上げで、小型端末の運賃情報書き換え必要になったためではないかと推測しています。ICカード全盛のこの時代に路線距離がさほど長くなく、有料優等列車も無人駅もない相鉄でここまで車内精算が残っていたのが半ば奇跡だと思いますが…。
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