海幸山幸号
◆種別:特急
◆運転区間:宮崎~南郷
特急「海幸山幸」号は昨年10月から主に土曜休日を中心に宮崎~南郷間で1往復運転されています。形態としては臨時列車ですが、ほぼ定期的に運転されているので定期列車のカテゴリーとしています。「海幸山幸」という列車名は海幸彦と山幸彦という神話の登場人物からの由来です。この二つを略して「海幸山幸」と称することもあるようです。
目的は「日南線沿線の観光需要掘り起こし」とのことで、列車では行きづらい沿線観光地を廻る周遊バスと組み合わせた「海幸山幸観光きっぷ」というトクトクきっぷが発売されています。JRとバスは競合する関係になりがちですが、最初から補完関係を想定したきっぷを用意するところには目新しさを感じます。
日南線初の特急列車ですが、日南線は単線で交換可能駅も少ないため、速度が上がりません。55.6Kmの距離を1時間半以上かけて走ります。
【宮崎→南郷】
宮崎 南宮崎 青島 飫肥 油津 南郷
海幸山幸 11:10→11:14→11:37→12:26→12:37→12:53
日南マリーン 12:23→12:27→12:49→13:28→13:39→13:51
【南郷→宮崎】
南郷 油津 飫肥 青島 南宮崎 宮崎
海幸山幸 15:44→16:05→16:15→16:54→17:18→17:21
日南マリーン 17:29→17:41→17:55→18:29→18:55→18:59
下りは「海幸山幸」が1時間43分に対して、「日南マリーン」が1時間29分です。上りは「海幸山幸」が1時間37分に対して、「日南マリーン」が1時間30分です。青字に変えたところでは5分以上停車なので、交換待ちでロスが増えています。観光列車なのでスピードは二の次で構わないですが、臨時特急とはいえ同線を走る快速「日南マリーン」号より遅いのはちといただけない感はします。
(日南線・南郷)
車両はJR九州鹿児島総合車両所のキハ125形400番台という車両です。この車両はかつて宮崎県を走っていた高千穂鉄道でTR400形と称し、「トロッコ神楽」という列車に使用されていた車両でしたが、高千穂鉄道が平成17年の水害で休止→全線廃線となった際にJR九州が購入し、改造してキハ125形に編入されるという奇異な運命を辿っています。第三セクターの車両がJRに移籍するのはこれが二例目で、非常に珍しいことです。
(海幸山幸のロゴ)
JR九州が改造した際に地元特産の飫肥(おび)杉を内装だけでなく樹脂加工を施した上で外板にも使用し、JR九州らしい非常に個性的な外観になっています。私は最初見たときに木材らしく塗装を施したのかと思いましたが、実際に木の板がボルトで留めてあってびっくりしました。2号車が「海幸」で1号車が「山幸」と名前が付いていて、外板にロゴが貼ってあったり、車両間の通路にのれんが掛けてあったりでなかなかおもしろいです。
指定は南郷行よりは宮崎行の方が取りやすいようです。運行当初は指定席21席で自由席が30席でしたが、指定が取りにくいという苦情があったようで、昨年12月から指定席42席、自由席9席に変更しています。私はきっぷを見てのとおり、2月28日に乗ってきました。しかし、乗っただけで1mも動きませんでした。
この前の日の2月27日にチリ地震が起こりました。地球の裏側の出来事だったので、旅行を継続する上では気にも留めていませんでした。しかし、津波が1日遅れで日本の沿岸を襲うかもしれないという事態になり、日本の太平洋岸に津波警報が発令されました。日南線が通る日南市油津にも15時過ぎに30cmの津波が予想され、日南線は14時半ごろから運転見合せとなりました。
(待てども動かず@南郷駅)
私はしばらく運転見合わせになるものの、津波が過ぎ去れば運転再開されるだろうと見込んでいました。しかし、15時を過ぎても一向に警報は解除されず、ひたすら南郷駅の待合室で待たされました。17時を過ぎて寒くなってからようやく車内に入れてもらえましたが、エンジンをアイドリングするばかりで前に進む気配はありませんでした。途中で食料の支給もありましたが、夜7時を過ぎて結局運転打ち切りが決まり、タクシー代行で宮崎駅まで戻りました。宮崎駅に着いたのは夜9時ちょっと前でした。最終的に警報が解除されたのは深夜のことでした。
せっかくやりくりして有休を取ったのに動く「海幸山幸」に乗ることができませんでした。しかし、天災ばっかりはどうしようもありません。諦めるしかないと思っています。こんな状態だったので正確に乗ったうちに入らないかもしれません。今のところ「宮崎をどげんかせんといかん!」と思っています。夏あたりに懲りずにリベンジを計画しています。
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