新幹線振替乗車票
3月15日の早朝に高崎線・籠原駅の送電設備が故障し、籠原駅付近の電気設備にも影響が及んだため、籠原駅の電留線から車両が出区できない事態となり、2日半にわたって高崎線は熊谷~岡部間で不通となりました。まだ春休み前の平日だったため、通勤通学客が都心へ向かうことができず大混乱を引き起こしました。
高崎線は並行する私鉄がないため、大宮~高崎間は上越新幹線で振替輸送をしました。大宮~高崎間で新幹線駅を2つ以上含む乗車券や定期券を所持する場合に、特急券なしで上越新幹線の自由席に乗車できるというものです。
そして、振替の対象客には特急券代わりにこのような「新幹線振替乗車票」なる無地の白い紙切れが配られました。発行は高崎駅ですが、今回の事故で配布されたものではなく、10年前に発行されたものです。様式は今回のものと大差ないようです。
振替輸送が大規模かつ長時間続いたため、一部の駅では「新幹線振替乗車票」が品切れになり、コピーや乗車駅証明書で代用したところもあったようです。
首都圏で振替輸送を行う際に必ずもめるのはICカード(Suica・PASMO)は対象外であることです。ICカードに定期券情報が乗って範囲を満たしていれば対象ですが、チャージで乗車している場合は対象外です。利便性ばかりに目を奪われていると思わぬところに落とし穴があります。なお、JR西日本のICOCAはチャージで乗車していても振替輸送の対象になります。
JR東日本はここ2年ほどの間に自社起因の輸送障害を複数回引き起こしています。
- 京浜東北線回送列車が川崎駅で脱線転覆し、丸一日不通
- 山手線で架線柱が倒れ、山手線と京浜東北線が9時間不通
- 東北新幹線で異常摩耗した架線が切れて、4時間半不通
- 横浜線で架線柱が倒れ、始発から10時過ぎまで不通
- 横須賀線で地下水排水装置が故障し、始発から18時ごろまで不通
- 籠原駅の送電設備が故障し、丸2日以上にわたり不通
すべてここ2年ほどの間に起きたものです。幸い乗客の死傷事故には至っていませんが、原因はいずれも工事時の施工・手順の不手際や設備の不具合です。人件費を浮かせて経営上の数字を良く見せるために、必要以上の人員削減や外注化を進めた結果がこのザマです。
昨今JR北海道が安全面でいろいろとクローズアップされ叩かれましたが、こうして見るとJR東日本も全然負けていません。そもそも自社の足元がグダグダなのに、JR北海道に要員を送り込んで安全指導しているなんて滑稽でもあります。
私が思うに、JR東日本の経営陣は鉄道の安全輸送を駅ナカや不動産・カード事業などと同様のサービスの一つと考えていやしないかと…。「鉄道の基本は安全」なんて言葉がある通り、安全は基本(前提条件)であってサービス(付加価値)ではないはずです。もし、そんな勘違いをしているようなら、鉄道事業なんて名古屋のオレンジの会社にでも売って、不動産やカード事業に精を出せばいいと思います。
最近、JR東日本がすっかり残念な会社に堕してしまった気がしてなりません。
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