ふるさとゴロンと号
◆種別:特急
◆運転区間:上野~青森(羽越・奥羽線経由)
(奥羽線・大館)
盆暮れの超繁忙期の帰省用に運転されている特急列車です。区間・経由とも寝台特急「あけぼの」と全く同じです。車両はJR東日本秋田車両センターの583系で、その名のとおりB寝台を特急料金だけで「ゴロンとシート」利用できる列車です。今冬は12月29日に下りが、年明け1月2日に上りが運転されました。
583系の「ゴロンとシート」利用といえば冬の週末に大船~山形間で運転されていた快速「ゲレンデ蔵王」号が思い出されます。金曜の夜に出発して土曜の朝には仙台・山形に着く非常に使い勝手のいい列車でしたが、スキー列車なのにヲタがたくさん押さえてしまって指定券が取れないという苦情が出てしまったため、現在では団体専用列車化されていて、一般客が利用することはできません。
指定券が取りにくい時期である上に、寝台料金不要の特急料金だけで583系の寝台車に乗れるのでヲタ的にも根強い人気があります。私は指定券発売日に旅先にいたため一ヶ月前の10時打ちの予約を仕込むことはできなかったんですが、朝11時半ぐらいに空席を聞いてみたところ上段のみ1席あったのでその場で押さえました。たぶん、誰かが余分に取れたものを戻してくれた分なんだと思います。
ヘッドマークは専用の図柄が用意され、シール貼りのようでした。発車前の上野駅は撮り鉄が集結し異様な雰囲気でした。上野駅に国鉄色の583系が入ることは昔は毎日見られた光景ですが、最近では滅多にありません。ただ、ホームに三脚を立てて撮影するのは邪魔なのでいかがなものかと思いますが…。
(583系B寝台車内)
指定の13番上段から眺めた車内の様子です。通路を挟んで線路と同じ向き左右に3段式の寝台が並んでいます。上段は大人の背丈と同じぐらいの高さにあり、寝ている最中に転落したら確実にケガをします。しかも、大荷物があると上に上げるのが大変です。上段と中断ははしごを上って自分の寝床に入りますが、これには若干慣れを要します。
(上段寝台)
私が一晩過ごした上段寝台です。寝床の幅は70cmとされていますが、体感的にはもう少し広いです。頭上は普通の大人は体育座りできないぐらいの高さです。窓は右側に小窓があるのみですが、寝ながら景色を眺めるのは猫背になって寝ていないといけないので、ちょっと無理がありました。
(中段寝台)
最後まで主が来なかった私の真下の中段寝台です。幅は上段と同じ70cmですが、上段より狭さを感じます。頭上は上段寝台より狭いです。小窓はありますが、寝ながら景色は見えません。これでは本当に寝るだけです。「同じ料金であれば中段より上段の方がマシ」という印象を受けました。
(下段寝台)
途中駅で降りた私の向かいの段の下段寝台です。下段寝台は座席をバラして組み立てるためマットレスが敷いてあり、それだけで既におトク感があります。幅は115cmで上段・中段より格段に広く、窓側に体を寄せれば体育座りもできるほど頭上空間を確保できます。さらに窓も独占です。寝台料金であれば上段と中段は5250円で、下段は6300円と差別化されていますが、「ゴロンとシート」の場合はどの段でも+710円です。どの段でも値段が一緒であれば下段が一番いいです。
乗車率は時期的なものもあって良好でしたが、それでも全部埋まっているということはなく、私が乗っていた3号車については上段が1~2箇所、中段は5~6箇所の空きがありました。さすがに下段は全部埋まっていました。 以前、「ゲレンデ蔵王」の「ゴロンとシート」に乗った時に車内の猛烈な暑さゆえのどが渇いてしょうがなかったので、大き目のお茶を用意して乗りました。ところが、私が一晩過ごした上段は心配したほど暑くなりませんでした。下段に降りてみた時はかなり暑かったので、天井の空調よりは座席の下から出る熱の影響が大きそうです。
【ふるさとゴロンと号】
上野(20:45)/大宮(21:13)
→→→秋田(6:17)/大館(8:05)/弘前(8:52)/青森(9:35)
首都圏側の停車駅は上野・大宮の両駅のみで、大宮駅を出ると群馬・新潟・山形県はすっ飛ばして羽越線・象潟駅までノンストップです。秋田駅で少々、弘前駅で1~2割降りた以外は途中駅で降りる人はあまりおらず、多くの人が青森駅まで乗り通しました。客層は普通の帰省客=3、鉄分の濃そうな帰省客=3、単なる鉄ヲタ=4といった感じで、全体的にヲタ率は高めでした。停車時間がある駅では寒い中わざわざ電車から降りてカメラを構えている人が多くいました。
今年12月には東北新幹線が新青森駅まで延伸されます。その際には東京~新青森間が3時間台で結ばれますから、一晩かかるこの列車が運転される可能性はかなり低いと思われます。上の写真のような雪景色の「ふるさとゴロンと」号はもう見られないのかもしれません。
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