三江線廃止へ
(粕淵駅に入線する列車)
来年3月末で三江線が廃止となることが決定しました。100Kmを超える路線の全線廃止は本州では初となります。当初、JR西日本は今年9月末で廃止する予定でしたが、沿線自治体からの要望により半年延期して来年3月末となりました。
三江線は広島県と島根県の山間部の江の川沿いの人口希薄地帯を走るローカル線です。もともとは陰陽連絡を担うべく建設が進められましたが、昭和50年に全線開業する頃には道路整備が進み、本来の役目を果たすことなく細々と人口希薄地帯のローカル輸送を続けているのが現状です。
国鉄がJRに民営化されて以降これまで、国鉄から継承した廃止予定線・整備新幹線や自然災害絡みを除く、純粋に営業成績が悪いが故の廃止は以下のような感じで意外と多くありません。
会社 | 路線名 | 区間 | 廃止年月日 |
JR北海道 | 函館線(支線) | 砂川~上砂川 | H6.5.15 |
深名線 | 深川~名寄 | H7.9.4 | |
留萌線 | 留萌~増毛 | H28.12.4 | |
JR西日本 | 富山港線※ | 富山~岩瀬浜 | H18.2.28 |
美祢線(支線) | 南大嶺~大嶺 | H9.3.31 | |
可部線 | 可部~三段峡 | H15.11.30 |
※JR線として廃線となった後、第三セクターの富山ライトレールに移管
廃線がこれだけで踏みとどまっているのはJR各社の経営努力の賜物だと思います。ただ、最近はJR各社の首脳が今後の路線整理を匂わせる発言をしており、人口減少の時代にあって今後は避けられそうにありません。
(石見川本駅:平成29年2月)
きっぷ趣味的にはなかなか難儀な路線です。100Kmを超える路線で中間駅が33駅もあるにも関わらず、きっぷを発売しているのは石見川本と粕淵の2駅だけです。しかも、石見川本は日中の窓口閉鎖時間が長く(不在時は周辺駅の巡回をしているそう)、粕淵は土休日は休みです。両駅ともPOS端末設置駅で、料補による指定席取扱いもありました。
また、かつては尾関山駅の駅前商店で簡易委託を行っていて、このような常備軟券の発売を行っていました。三江線は三次駅構内を除くと浜田鉄道部管内になるため、100Km以上離れた江津駅が発売箇所として印刷されているのが面白いです。
私はこの時三江線に乗ったわけではなく、車で近くを通った際に立ち寄りました。あいにく店が閉まっていて「万事休すか…」と思って引き返そうとした時に店の人が帰ってきてきっぷを売ってもらえました。平成22年7月で簡易委託を終了したそうなので、この時寄っておいてよかったです。
人口減少は地方公共交通にとって、大変な脅威ですね。
しかし、更なる脅威が有ることも、先日、感じました。
先日、ある評論家の車の自動運転に関する講演を聞きました。
「10年後、あるいは20年後、車の完全自動運転が実現すると、子供からお年寄まで、国民一人一人がマイタクシーを持つようなものになる」と言うものでした。
近い将来、地方では、鉄道、路線バス、果てはタクシー、徒歩移動まで、自動運転車に取って代わられるかも知れません。
もはや、想像もつきませんね。
投稿情報: やきのり | 2017年3 月28日 (火曜日) 13時15分