花嫁のれん
◆種別:特急
◆区間:(IRいしかわ鉄道)金沢~和倉温泉(1日2往復)
(花嫁のれんエンブレム)
昨年3月の北陸新幹線金沢開業に伴うダイヤ改正で七尾線の特急列車を再編し、七尾線内で完結する特急「能登かがり火」5往復と大阪から直通する「サンダーバード」1往復の体制になりました。10月からは週末を中心に運転する観光列車として金沢~和倉温泉間に特急「花嫁のれん」号2往復が新たに登場しました。
「花嫁のれん」とは親が嫁入りする娘の幸せを願って持たせる色鮮やかなのれんのことで、加賀で古くからある風習だそうです。
(金沢総合車両所での一般公開)
車両はJR西日本金沢総合車両所富山支所のキハ48系でした。もともとは山口鉄道部にいて、国鉄色でリバイバルで運転された急行「ちどり」にも使用された車両でした。「花嫁のれん」への改造にあたり、富山に転属しています。8月の金沢総合車両所(本所)公開の際に初めて一般公開されました。
正直、電化区間だけを走るのになにゆえ気動車なの?とは思いました。交直両用車に改造の種車となる適当な候補がなかったのか、将来的には線路が繋がっているのと鉄道への乗り入れを視野に入れているのかは分かりませんが…。
金沢~津幡間はIRいしかわ鉄道経由となりますが、「花嫁のれん」は2往復とも接続駅である津幡駅を通過します。そのため、「能登かがり火」と同様に全区間通しでJRの乗務員が乗務します。また、客室サービスを行う要員として、和倉温泉にある有名旅館「加賀屋」で研修を積んだアテンダントが乗車し、物販や車内サービスを担当します。
2両編成の車内はそれぞれ違ったテーマが設定されています。北陸の温泉文化を表現したという和倉温泉寄りの1号車の大半は半個室になっています。ただし、部屋単位での発売ではないため、知らない人と相部屋になりビミョーな時間を過ごすことはあります。カーペットは石畳をイメージしたデザインになっていたのが目を引きました。また、デッキ寄りには売店があり、飲み物・軽食やグッズの販売を行っていました。
北陸の伝統文化を表現したという金沢寄りの2号車の出入り口デッキには金沢の伝統工芸である金箔が貼ってあり、まばゆいばかりの輝きを放っています。内部は1号車とは異なり座席で構成されていて、一部は窓側に向いています。壁面には液晶ディスプレイが設置されイベントスペースにもなっています。
あまり詳しく書きすぎるとネタバレになってしまいますので、この程度で控えます。気になる方は実際に乗って驚いて欲しいと思います。
私は2回乗りました。しかし、2回とも1号車で別のグループとの相席になりました。一人や少人数グループの場合は2号車の方がいいと思います。あいにくe5489で細かな座席位置の指定ができないので、駅で聞くしかないのが難点ですが…。
また、各列車にはオプションで軽食サービスが用意されています。利用するには金沢~七尾・和倉温泉間の指定を確保したうえで、乗車日の4日前までJR北海道を除く駅や旅行会社の窓口で購入しておく必要があります。私は2回とも直前で気付いたためまだ軽食サービスを体験できていません。次回は忘れないように気をつけたいと思います。
地元紙の報道によると、運転開始から昨年末にかけての「花嫁のれん」の乗車率はなんと95%だそうです。北陸新幹線特需や物珍しさを差し引いても驚異的な数字だと思います。私が乗った2回とも当日は満席になっていました。ただ、1ヶ月前に10時打ちをしなければならないかと言うとそこまでではなく、空席状況を観察していると最初は空いていても乗車日が近付くにつれて埋まり、最終的に当日は満席という傾向があります。
乗車時間は各列車とも約1時間20分です。「能登かがり火」が約1時間なので20分ほど時間を要していますが、滞在することを楽しむ観光列車にしては少々慌ただしかった感はありました。観光列車は時間がかかっても文句は言われませんから、途中の停車時間を増やすなどして2時間程度は乗りたいという思いはあります。あと、せっかく気動車で運転しているので、のと鉄道への乗り入れも期待したいところです。
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