昼特きっぷリニューアルへ
「昼間特割きっぷ」(以下「昼特きっぷ」)はJR西日本のアーバンネットワークエリアで私鉄と競合する区間で発売されている12枚綴りのオフピーク回数券です。私鉄との競合対策で、その名の通り10~17時に入場することが条件である代わりに運賃が大きく割り引かれます。12枚綴りで3ヶ月間有効です。
いつものように京阪間・阪神間でJR西日本と私鉄各社のオフピーク回数券との運賃を比較してみます。
【京阪間】
■JR西日本(大阪~京都)
- 正規運賃 560円
- 昼特きっぷ 317円(43.3%引)
■阪急(梅田~河原町)
- 正規運賃 400円
- 時差回数券 333円(16.8%引)
■京阪(淀屋橋~祇園四条)
- 正規運賃 410円
- 時差回数券 342円(16.8%引)
【阪神間】
■JR西日本(大阪~三ノ宮・元町)
- 正規運賃 410円
- 昼特きっぷ 248円(39.5%引)
■阪急(梅田~神戸三宮)
- 正規運賃 320円
- 時差回数券 267円(16.8%引)
■阪神(梅田~神戸三宮)
- 正規運賃 320円
- 時差回数乗車券 267円(16.8%引)
区間が微妙に異なるので単純比較はできませんが、両区間とも正規運賃はJR西日本が一番高いものの、「昼特きっぷ」で大幅に値引くことによって、オフピーク時間帯では最安となっています。また、私鉄各社のオフピーク回数券はいずれも10時~16時の入場が条件となっており、「昼特きっぷ」より1時間短いです。
最初にいったんは「私鉄」と書きましたが、大阪~京都・元町・宝塚という「昼特きっぷ」の設定区間をよく見てみると阪急の路線図ときれいに重なります。「昼特きっぷ」は阪急対策をを念頭に置いている言っていいと思います。
「昼特きっぷ」は10月発売分より、1冊12枚綴りから6枚綴りに減らして利用しやすくする代わりに、1枚当たりの価格を引き上げます。また、利用が少ない区間は整理し71区間から57区間に減らします。それにより京阪間・阪神間の「昼特きっぷ」の価格は以下のようになります。
- 大阪~京都 350円(6枚2100円)
- 大阪~三ノ宮・元町 270円(6枚1620円)
「昼特きっぷ」の割引率が下がったことによって、私鉄との価格が逆転してしまっています。今回の措置は「昼特きっぷ」に対してダンピング批判があったのかもしれませんが、私は金券ショップ対策かなと見ています。
JR神戸線のとある駅の改札口です(クリックすると拡大します)。右側に自動改札機があります。通路を挟んで左手前の青いシャッターのお店は金券ショップ大手の「甲○チケット」です。当然、「昼特きっぷ」も取り扱っています。駅の改札の目の前で、金券ショップが堂々と割引きっぷをバラ売りしているというある意味すごい光景です。
ここほど極端な例はともかく、このあたりでは駅のすぐそばに金券ショップの無人券売機が置いてあって、電車に乗る前に気軽に「昼特きっぷ」のような割引きっぷが買えることは珍しくありません。JR西日本としては目の前で正規運賃で乗る客を取り逃しているこの状況は内心面白くなかったと思います。
今回のリニューアルでは正規運賃との差を縮めることにより、おそらく金券ショップの利幅は下がります。また、6枚を3ヶ月で使えばいいので、金券ショップでバラで買っていた層が駅で1冊購入する割合が上がり、金券ショップの利用客は若干減ると思います。その両面から金券ショップに対し兵糧攻めを行ったのではないかと推測しています。
ちょっと古いですが、マルス券と近距離券売機で発券した「昼特きっぷ」です。 マルス券には右端に(綴07)、近距離券売機の方は真ん中に(8)と12枚の中の綴連番が印字されています。10月発売分からは6枚綴りになりますので、綴り連番の7・8は見られなくなります。
6枚つづりにするんだから、有効期間を2ヶ月にしてもよさそうでは?そうすれば、金券ショップで出にくくなるだろうから。
投稿情報: ふなこ | 2015年9 月15日 (火曜日) 11時02分
以下は以前同様の文章を他の方のブログにコメントしたことがあることをご了承ください。
昼間特割きっぷは国鉄が増収のため青春18などあの手この手を打った時のヒット商品で、1983年発売開始です。
阪急阪神との競合区間のみで発売していた理由は、「国鉄時代から発売していた」点に答が見出せます。
国鉄末期、なんとしても私鉄から乗客を奪回したい大鉄局は、運賃も安くすれば間違いなく乗客が奪えると確信、大幅割引の回数券を企画し、単なる回数券で最大50%近い割引は難しく、「何らかの制限があれば…」ということで昼間限定と言う手を使うことにしました。「大鉄局」の企画だから、天鉄局の近鉄や南海との並走区間で発売されなかったのは当然と言えます。販売価格も挑戦的で、運賃は並行私鉄の運賃の11倍つまり並行私鉄の回数券金額+片道という割安感をアピールした金額となっていました。このため、当時最も国鉄との運賃差が生じていた大阪‐宝塚が最大割引率でした。(逆に私鉄より安い区間などは運賃の10倍で発売しました。このあたりに12枚綴りにした理由が見いだせそうです)
現在はそこまで露骨な金額設定ではないものの、例えば大阪からだと西宮もさくら夙川も普通運賃は同額なのに、昼特の販売価格は異なると言う地元民を不思議がらせるからくりはあります。(併走する阪急や阪神は梅田から西宮と夙川・香櫨園では運賃が異なるからです。)
この昼特、発売時は回数券と同様の常備軟券で赤色+赤線1条という魅力的な券でした。当初は文字通り昼間のみ有効で、その後休日は終日→土休日は終日→切り離し使用可などと進化しました。常備券はJR東西線が開業した頃は普通に買えましたが、その後マルスまたは券売機のみになりました。
有効期間については私鉄の時差回数券等が6枚綴りでも3か月程度あるので、わざわざ私鉄より不利な条件にすることはないと思います。
投稿情報: かんくん | 2015年9 月15日 (火曜日) 19時56分
某駅は、垂水駅ですね。
投稿情報: 交趣ギャラリー | 2015年9 月15日 (火曜日) 22時26分
>交趣ギャラリーさん
カーソルを画像上にもっていくと答えがあります。
投稿情報: 今出川 | 2015年9 月15日 (火曜日) 23時08分