伊東線中間駅無人化
(網代温泉のアーチと網代駅)
今年3月8日より伊東線の中間駅(来宮・伊豆多賀・網代・宇佐美)の4駅が子会社要員による駅業務を取り止めて無人化し、伊東駅からの遠隔管理に移行しました。これらの駅にもかつてはすべてみどりの窓口がありました。以下のような感じで着々と合理化を進め、今回の無人化に至りました。
みどりの窓口閉鎖 窓口廃止後は…
来宮 H19.6.22 指定席券売機なし
伊豆多賀 H19.6.22 指定席券売機なし
網代 無人化まで存続 -
宇佐美 H19.6.29 指定席券売機設置もH26.7末に撤去
来宮駅は一部特急列車が停車していましたが、一昨年春のダイヤ改正ですべて通過となっています。また、宇佐美駅には一旦指定席券売機が設置されたものの、無人化を見越してか昨年7月に撤去されています。みどりの窓口閉鎖時に設置された指定席券売機が撤去されてしまったのはおそらく初めての事例になります。
網代駅は静岡県熱海市にあります。熱海と伊東の間に挟まれ埋没気味ですが駅近くには網代温泉という温泉地があります。よって、中間駅で唯一の特急停車駅でもあります。網代駅のホームは急カーブで見通しが悪い上に、バリアフリーに対応するエレベーターやエスカレーターの設備もありません。伊豆は高齢の観光客も多く、駅員の補助を必要とする利用客はそれなりにいるように見えました。
横須賀線・武蔵小杉駅開業記念の特急「リゾート踊り子65号」で当地に降り立って以来、5年ぶりに訪ねた際には駅舎内で工事が始まっていました。無人化まで1ヶ月を切っていたので、その準備工事だろうな…と思っていたんですが、そういうことではなく駅舎案内サインの整備と壁や待合室の改修とのことでした。また、3月8日から網代駅を無人化する旨の告知はこの時点でもまだありませんでした。
みどりの窓口の閉鎖でもそうですが、最近のJR東日本の駅では駅の営業形態の変更に関して利用者への告知が遅いですし、不十分な印象があります。中には窓口のガラスにA4紙切れが一枚貼ってあっただけの駅があったぐらいです。利用客へのしわ寄せが大きい無人化ならなおさら早めの告知が必要だったのではないかと感じます。
網代駅のみどりの窓口で少々買い物をしました。みどりの窓口設置駅から一気に無人化する事例はJR東日本では珍しいです。無人化されてからは指定席券売機の設置はなく、近距離券売機のみとなっています。
この件は昨年7月末の静岡新聞の報道によって表面化しました。地元は観光への影響やバリアフリーの対応を理由に一様に懸念を表明しましたが、結局は予定通り今年3月から無人化が実施されました。無人化された4駅の乗車人員は600~1200人程度でしたので、さらなる合理化は避けられなかったのかもしれませんが、半ば一方的に無人化という最終手段を選択したJR東日本は褒められたものではありません。
ただ、無人化まで半年以上は執行猶予があったのにJR東日本に対し形だけの「申し入れ」をするだけで、回避する具体的なアクションを起こさなかった行政(網代の場合は熱海市)の無策ぶりもいかがなものかと思いました。観光に深刻な影響を及ぼすと言うのであれば、観光客が多い土休日ぐらいは市や観光協会で工夫して駅に要員を配置することはできなかったのかと…。駅の真ん前に観光協会があったのでなおさらそう感じました。
網代駅の階段にあった駅のみどりの窓口の利用を呼び掛ける看板です。気合の入った看板ですが、無人化されてしまっては「看板に偽りあり」ですから、今はもうなくなっているかもしれません。
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