三陸鉄道北リアス線その後
昨年3月の東日本大震災で一時全線不通となった三陸鉄道ですが、5日後には被害の小さかった北リアス線・久慈~陸中野田間を復旧させました。この区間は3月末までは復興支援列車として運賃無料で運行しました。移動手段を失った被災者にはずいぶん喜ばれたようです。
今年4月現在の北リアス線は北側の田野畑~久慈間、南側の宮古~小本間が復旧しています。小本~田野畑間の中間の島越駅は完全に流失してしまっています。この部分の再開にはもう少し時間がかかって再来年4月の予定です。
私は8月に久慈→宮古を移動する際に利用しました。久慈近辺は以前大学の後輩が住んでいたので連れて行ってもらい久慈~陸中野田間は乗っていたんですが、それ以南は震災後初めてでした。
(陸中野田~野田玉川間)
陸中野田駅を過ぎると海と草むらが見えました。この景色を何となく眺めていたんですが、震災前は松林が茂っていたそうです。それが津波でほとんど流されてしまったため、こんな景色になってしまったんだそうです。車内放送ではそんな案内がありました。それだけでも津波の凄まじさを感じました。
(綱が切れなかった夫婦岩)
途中の堀内駅付近で見えた夫婦岩です。岩をつなぐ綱は津波でも切れることはなかったそうです。津波でも夫婦の縁は切れなかったというわけです。ちょっといい話です。
(田野畑駅から島越駅方向を臨む)
不通になっている田野畑~小本間は列車に接続するよう岩手県北バスによる代替バスが結んでいます。小本方面の線路はすっかり錆びてしまっていて、不通になってからの時の長さを感じます。錆が取れて再び輝きを取り戻すまであと2年かかります。
(代替の岩手県北バス)
このバスは列車代行バスではないので、三陸鉄道の乗車券では利用できず別途運賃が必要になります。なので、三陸鉄道+代替バスで久慈→宮古間を移動する場合には、久慈~田野畑間、小本~宮古間それぞれの三陸鉄道の乗車券と代替バスの運賃が必要になります。
(小本駅に停車する列車と謝意の看板)
代替バスは島越駅を避けるよう山側を大回りして小本駅まで結んでいました。小本駅は岩手県岩泉町にあります。岩泉町と言うと存廃問題で揺れている岩泉線を抱えていますが、実は町の海沿いに北リアス線も通っています。岩泉線は茂市から岩泉を経由して小本まで結ぶ予定で建設されていましたが、昭和47年に岩泉まで部分開通したまま工事が凍結されそのままになっています。岩泉町にとっては岩泉線より宮古駅に直結する北リアス線の方が重要のように見えるんですが…。
(復興商店街)
小本駅の裏手にはプレハブ造りの(仮設の?)復興商店街がありました。震災当初の物資不足は解消されていますが、プレハブ造りで我慢を強いられている部分はあるように見えました。
沿線を見て震災から約1年半経って少しずつ復興しているように見えましたが、まだまだ不十分で「道半ば」な印象が却って強くなりました。金額的には十分なほどつぎ込まれていますが、それが必要なところに行き渡っていない感です。
小本駅で購入した宮古経由盛岡駅までの乗車券です。小本駅は岩泉町に委託された簡易委託駅で、売店のおばちゃんがきっぷを発売していました。JR連絡だと補充券になるようです。私が乗車した列車は宮古駅で山田線の盛岡行に接続していたので、他に6~7人が盛岡までの乗車券を買い求めていました。
なお、余談ですが三陸鉄道ではJR連絡券は必ず回収されますので、乗って残したい方はご注意ください(自社線内完結は貰えます)。上のマルス券は久慈駅で三陸鉄道部分を放棄して手元に残しました。また、最近JR東日本では補充券の回収を強化していると聞きますので、こちらもご注意ください。
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