リニア・鉄道館☆往復きっぷ
(リニア・鉄道館外観)
今年3月14日に名古屋の金城ふ頭にある「名古屋市モノづくり文化交流拠点」にJR東海版の鉄道博物館的な施設「リニア・鉄道館」が開館しました。「モノづくり文化交流拠点」とは名古屋市が推進する事業で「『モノづくり』『産業技術』をテーマに人々が交流する拠点の創出する」んだそうです。平たく言ってしまえば、中部地方で盛んな「モノづくり」を一堂に見られるような拠点を作るといった趣旨でしょうか?
ここに浜松工場、美濃太田運輸区、伊那松島運輸区といった現業機関や一昨年11月に閉鎖した佐久間レールパークに散らばって保存されていた車両を一堂に集めました。
その新幹線アクセスきっぷとして「リニア・鉄道館☆往復きっぷ」というきっぷが発売されています。設定のある発駅は東京(都区内)~浜松間の新幹線停車駅と京都(市内)と新大阪(市内)です。発駅から名古屋駅までの往復新幹線指定席(掛川・浜松発は自由席)と名古屋~金城ふ頭間のあおなみ線(名古屋臨海高速鉄道)の往復に「リニア・鉄道館」の入館引換券が付いています。この入館引換券は混雑で入場制限がかかった際には優先入場ができるという触れ込みです。
(新幹線・ゆき)
(新幹線・かえり)
新幹線は名古屋駅までのごくありがちな様式の往復券です。名古屋市内ではなく、名古屋単駅になっているのが特徴と言えば特徴です。出発日ごとに発売枚数に制限があるそうですが、実際何枚なのかは公表されていません。繁忙期は絞って、閑散期は増やして微調整するんだと思われます。
(あおなみ・ゆき)
(あおなみ・かえり)
この券はあおなみ線の券です。回収されたので手元にはありません。120mm券なので当然自動改札は通りません。
名古屋駅にはJRとあおなみ線の連絡改札がありました。85mm券であれば連絡改札を抜けられるんですが、120mm券なのでそうはいきません。しかも連絡改札にはわざわざJR東海の係員が立っていて、自動改札を出てあおなみ線側の改札から入りなおすよう誘導していました。
正直言って「バッカじゃねぇの??」って思いました。せっかく連絡改札があるのに、券面に「名古屋駅では、新幹線とあおなみ線の乗換改札利用不可。一旦新幹線の改札を出て、あおなみ線の改札をご利用ください。」なんてくだらない注意書きを仕込むヒマがあるなら、85mm券1枚にまとめた上できっぷの磁気情報を工夫して通れるようにすべきです。
JR東日本が実質運営しているさいたま市の鉄道博物館へのアクセスも大宮~鉄道博物館間は埼玉新都市交通(ニューシャトル)というJRとは異なる会社ですが、「新幹線&鉄道博物館きっぷ」はJRとニューシャトルにまたがる「東京(都区内)~大宮~鉄道博物館」が85mm券1枚にまとまっていて、両社の自動改札にもきっちり対応させていました。
こういうきっぷを企画する際には少しぐらい他社事例を研究したほうがいいと思います。このきっぷを企画した担当者は「上から言われたのでとりあえずやりました」的なやっつけ仕事で企画したとしか思えません。机上でしか仕事をしたことがなくて、名古屋駅にJRとあおなみ線の連絡改札があることすら知らないのかもしれませんが。
(入館引換券)
この券は「リニア・鉄道館」の入館引換券です。これも入館時に回収されました。その際に新幹線の復路片の呈示を求められました。注意書きのとおりではあるんですが、意外ときっちりやってるなぁ…という印象を受けました。普通の日曜日でしたが、遅めの時間だったので入場制限がかかることなく入ることができました。
【ひとこと】
浜松市の佐久間レールパーク存続要請を振り切ってまで交通の便の良い名古屋に移転させたのに、なぜ金城ふ頭という何もない辺鄙なところにしたのか疑問です。私は元名古屋市民なのでなおさらそう思います。それに破綻したくせに大した経営努力の跡が見られないあおなみ線なんかにお布施したくないんですが…。
きっぷ自体の値段は全部を積み上げた額の1000~1340円引きで、割安感はありません。もし、「エクスプレス予約」の会員であれば、新幹線だけ「エクスプレス予約」で手配し、後は個別に現地購入したほうが安いです。また、JR東海ツアーズ主催の「リニア・鉄道館」への日帰りパックツアーであれば以下のようにもっと安上がりになります。
品川 新横浜 小田原 静岡
往復きっぷ 22000円 20800円 18100円 13000円
日帰りパック 16500円 15300円 13500円 10500円
朝一番の新幹線で出発かつ日帰りなので条件的にちょっと厳しいですが、名古屋駅で利用できる1000円分の買い物券付でこの価格です。日帰りできない理由がなければ一考の価値はあります。
せっかく3日間有効なのに「リニア・鉄道館」への往復に終始しているのが残念なところで、もうちょっと名古屋近辺の「モノづくり」を見てもらえるようなエリア設定が必要だと思います。私個人的には再度「リニア・鉄道館」に行くことはあっても、このきっぷを使うことはおそらくないと思います。
使い勝手…★☆☆☆☆
お得感…★☆☆☆☆
当日発売…あり
小児用…あり(5月31日までは大人の約4分の1)
おはようございます。ホントに融通が利かないみたいですね。せめて『連絡改札では係員に2枚のきっぷをお見せください』的表示及び対応はできないんですかね。やはり新幹線側で『自動改札入場で磁気入場情報管理』したいのでしょうか。
投稿情報: えびの2号 | 2011年5 月29日 (日曜日) 09時20分
名古屋駅のあおなみ線連絡改札口は自動改札のみで有人通路がありません。
他に利用者目線でないと思ったのは、関西エリアではJR西日本の駅でも発売するにも関わらず関東エリアにおいてはJR東日本の駅で発売しない点ですね。
投稿情報: マルス2号 | 2011年5 月29日 (日曜日) 21時49分
これ、概要通達来たんですよ。
すると、出せると思っちゃうじゃないですか。
「へー」って感心しつつよく読むと、
東日本管内での発売はないが問い合わせが想定されるため、と。
しょぼーんとした憶えが有ります。
投稿情報: 三階 | 2011年5 月30日 (月曜日) 09時56分
>えびの2号さん
どっちの会社が融通が利かないのか定かではないですが、もうちょっと利用者のこと考えて欲しいなぁと感じました。
>三階さん
やっぱJR東海のHPを見た客からの問い合わせが来るという想定なんでしょうね。
この券はJR東海の小田原駅で本券だけ先に購入し、指定は出発直前に自宅最寄駅(JR東日本)で取りました。指のみ券の発券はJR東日本の駅でも大丈夫みたいですね。
投稿情報: 今出川 | 2011年5 月30日 (月曜日) 22時44分
通達を確認したところJR東日本の「駅」における指定のみ券の交付可否は明文化されていませんでした。
「駅」「びゅうプラザ」等では本券を発売しませんが、何故かJR東日本所属の旅行会社(首都圏7支社管内所属)に限って発売できることから指のみ券交付は「駅」でも受けられるのかもしれません。色々な面で複雑?な切符ですね。
投稿情報: マルス2号 | 2011年5 月31日 (火曜日) 02時10分
「愛知万博往復きっぷ」の時は、一枚のきっぷでJR(→愛環)→リニモと乗れて、リニモの自動改札も通れたんですから、設定を工夫すれば問題なかったのでは?と思いますね。
あと、リニア鉄道館が金城埠頭にある理由は、名古屋市が土地代をタダにしてくれたから(30年分くらい)、という話を聞いたことがあります。
投稿情報: hachi | 2011年5 月31日 (火曜日) 03時45分
>金城ふ頭
JR東海はあおなみ線に出資してますから(確か1割)、経営改善のために終点に集客施設を造るのは妥当なことかと思います。佐久間は佐久間でサテライト的に残すやり方もあったとは思いますが…。
投稿情報: よこりん | 2011年5 月31日 (火曜日) 18時39分
>hachiさん
「愛知万博往復きっぷ」のときは三社にまたがってましたね。すっかり存在を忘れていました。
地代云々の話は聞いたことはあったんですが、情報源が見つけられなかったので触れませんでした。
>よこりんさん
10%の出資であれば連結対象どころか持分法適用にすらなりませんから、JR東海がそこまで経営に首を突っ込んでテコ入れする立場にはないと思います。
hachiさんのおっしゃるように地代という「撒き餌」の効果が大きかったんだと思います。
投稿情報: 今出川 | 2011年6 月 1日 (水曜日) 00時06分
開業初日に行きました。
JR東海の10%分はJR東海の線路を一部使う(というか横切る)関係で保守信号関連をJR側にあわせないと行けないことを勘案してでしょう。実際運転席の情報パネルがJR東海標準のものです。基本的には名古屋市のコントリビュートがほとんどです。
ちなみに連絡改札の件ですが、新幹線利用客は連絡改札に誘導せず、いったん新幹線改札を出させた後、あおなみ線の改札口へ向かうように誘導動線が貼られています。
むしろあの連絡改札の問題はmanacaが使えないことです。。。(manaca+JR磁気券がX)
投稿情報: 根津千駄木 | 2011年6 月 1日 (水曜日) 04時19分
運転席の情報パネルがJR東海標準なのは、点検などをJR東海に委託している関係で、たまには、JR東海の神領車両区へ中央西線を使い、回送しています。
マルス窓口端末に「金城ふ頭」駅がなぜか、入ってて、乗車券などを出そうとエラーになり出せないです。せっかく入っているなら 連絡切符や「リニア・鉄道館☆往復きっぷ」の あおなみ線往復券に使えばいいに・・・
投稿情報: MR | 2011年6 月 2日 (木曜日) 23時08分