乗継割引縮小
先日JR九州から「在来線の特急料金の見直し等について」というプレスリリースが発表されました。来年3月の九州新幹線開業を期に在来線の特急料金や制度を見直そうというのが趣旨です。
- 51~75Km、76~100Kmの特急料金の新設
- 51Km以上の特急料金の値下げ(20~820円)
こういうところで発表される「見直し」というとたいがいは悪いことを連想しますが、これだけ書くといいことづくめに見えます。しかし、ちゃんと悪いことも下のほうに掲載されています。
- 在来線「2枚きっぷ」・「4枚きっぷ」・「10枚きっぷ」の値上げ
- 特急料金が割安な「閑散期」の縮小
- 小倉・博多駅での新幹線乗継割引の廃止
値上げになる区間の「2枚きっぷ」・「4枚きっぷ」・「10枚きっぷ」については高速バスとの熾烈な競争があるとは言え、正規料金の半額を切るようなものもあり、今までが安すぎたと思います。割引きっぷと正規料金の差を縮めようという意図があると思われます。期間中土日問わず適用されたJR九州独自の「閑散期」の設定も、これも今までが粗すぎた感があります。
小倉・博多駅での新幹線乗継割引の廃止は個人的にはいただけないです。この分の負担増は新たに発売する「eきっぷ」で救済するんでしょうが、「eきっぷ」はJR西日本とJR九州の自社カード会員(J-WEST、JQ CARD)限定の上、設定の範囲は主要駅相互間に限られます。別に半額にならないでも、一定額の割引でもいいので乗継割引の制度は残して欲しかったです。
しかしよく考えてみると、乗継割引とはJR西日本の新幹線とJR九州の在来線に乗り継ぐことによって、JR九州の特急料金だけが半額になります。今までさほど意識せずに利用してきましたが、JR九州にとってはえらく不公平な話です。これが一つの会社だった国鉄時代ならよかったんでしょうが、旅客会社を六社に分割してしまった現在では、こういった国鉄時代からの制度が会社間の利害の対立となりうるのは必然だったのかもしれません。
(A型硬券)
(常備軟券)
手持ちで小倉・博多駅で乗継割引が適用されたきっぷを探してみました。偶然にも全部自由席特急券ですが…。上のきっぷはつい先日利用したものです。割とどうでもいいきっぷだと思っていたんですが、意外なところで日の目を見た感です。
真ん中のきっぷは平成6年に日豊線・鶴崎駅で発売されたA型硬券の、下のきっぷは平成15年に鹿児島線・日奈久(現:肥薩おれんじ鉄道・日奈久温泉)駅で発売された常備軟券の自由席特急券です。券名のところに「B自由席特急券(乗継)」と印刷されているのは同じです。JR九州の硬券や常備軟券の自由席特急券は「○○から××キロまで」というキロ数表示の着駅表示が一般的ですが、乗継割引の特急券や特定特急券についてはこのように着駅が印刷されています。
これで平成22年の記事は終わりです。今年は個人的に激動の1年でしたが、合間を見て記事を仕込み、何とか休まず更新することができました。年明けは1日に更新します。また来年もよろしゅうに…。
お疲れ様でした。
さて「eきっぷ」ですが西日本のニュースリリースを確認したところ乗車キロに応じた料金設定になっており、西日本・四国・九州・智頭急行(智頭急行内完結除く)の任意の区間の購入が可能なようです。カード所有者に限定されるとはいえ使い勝手はそんなに悪くはないと思われます。
それでは来年もよろしくお願いします。
投稿情報: うえっち | 2010年12 月30日 (木曜日) 01時32分
今年も一年間楽しませていただきました。ありがとうございます。
JR九州の乗り継ぎ割引は
1博多・鹿児島本線
2博多・長崎本線、佐世保線
3小倉・日豊本線
に大別されますが、1と2は九州新幹線に代わられる需要です(2は新鳥栖経由)。
マニア的には3があるからケシカランと言いたいところですが、大分方面から「くの字」を辿る需要がさほどあるとは思えず、発展的解消のいいタイミングだと言えます。
その点、先鞭を告げたJR東の仙台(常磐線〜盛岡方面)は需要が多かったと聞きますが…。
投稿情報: よこりん | 2010年12 月30日 (木曜日) 09時59分
・・・
何故かここで初めて知りました。
大分の人間なので凄く困ります。
富士がなくなり、小倉乗継割引までなくなり・・・
どないせっちゅんぢゃ。
来年も期待しています。
ここは色々と勉強になりますので。
投稿情報: 三階 | 2010年12 月31日 (金曜日) 23時12分
>うえっちさん
確かに金額が出ていたのは「おもな区間」と書いてあったので、それ以外の区間でもありそうですね。ただ、自社カードに入らなきゃいけないのは案外敷居が高いと思います。鉄道利用だけ考えるならエクスプレス予約もeきっぷも利用できるJ-WEST(エクスプレス)が最強な感です。
>よこりんさん
大分からのソニックは小倉駅で乗客が半分以上入れ替わるので、3が無視できるほど少なくはないと思います。久大線廻りなら観光客ぐらいしかいないと思います。
東北新幹線での例外を減らすとはいえ、仙台での乗継割引の廃止は明らかにやり過ぎですね。
>三階さん
大分ご出身でしたか。大分出身の私の友人(JR東社員)も富士の廃止は嘆いていました。
乗継割引の廃止はJR西日本以西であれば「eきっぷ」が使えるんでしょうが、東日本・東海管内からだと純粋な値上げになってしまいますね。
投稿情報: 今出川@北九州 | 2011年1 月 1日 (土曜日) 19時03分
新幹線からの特急列車の乗継割引についてですが、
乗割の割引分(50%)は新幹線会社が負担します。
<例えば、ソニックの乗継割引の割引額は、
新幹線会社であるJR西、JR海が負担>
乗割の廃止は、この度、新幹線会社の中に
JR九州自身が加わることとなり、
実質的な収入減となることから、
廃止に踏み切ったと思われます。
投稿情報: キキ | 2011年1 月 6日 (木曜日) 19時55分
そういうことでしたか…。知りませんでした。それだとタコが自分の足を食べて腹を満たすようなことになりかねないですね。
博多乗継でも特急「かいおう」や博多南線は対象外でしたから、この際にスッキリさせたのかなとも思いました。
投稿情報: 今出川 | 2011年1 月 7日 (金曜日) 20時12分