さよなら「銀河」
(京都駅発車案内)
年末のプレスリリースで3月15日のダイヤ改正で寝台急行「銀河」の廃止が発表されました。驚きよりは「ああやっぱりか…」と感じました。ここ数年はダイヤ改正のたびに寝台列車が廃止されていて、「銀河」もそのたびに「次は危ない」説が流れていました。
「銀河」には今では珍しくなった開放型のA寝台が連結されています。私は今まで散々鉄ヲタ旅行をしていますが、まだA寝台に乗ったことがありませんでした。京都旅行の帰りにちょっと奮発し、A寝台デビュー戦として乗ってみることにしました。私にとって「銀河」自体が5年半ぶりでした。
乗車したのは三連休最終日に東京へ戻る列車だった上に廃止が正式発表されていたので、A寝台はほぼ満席になっていました。
私は指定された寝台に横たわりました。上段は小窓しかありませんが、横になるとちょうど視線の先に窓があり、寝ながらにして車窓に流れる風景を眺めることができました。天井が若干窮屈な感じはしましたが、幅はB寝台より明らかに広く(当たり前か…)快適でした。車両は既に「ボロい」の域に達していて、国鉄車両の雰囲気が色濃く残っています。新しくてきれいな車両も結構ですが、逆にその武骨なボロさが新鮮に感じたりもします。
(上段寝台)
(A寝台車内)
(喫煙コーナー)
ただ、駅前のビジネスホテルに5~6000円で泊まることができる時代に、寝台料金だけで1万円近く(下段なら1万円超)というのは割高感があることは否めません。それに今どきのビジネスホテルはテレビや風呂は当然ながら、インターネット回線も完備しており仕事をする上では大変便利です。旅行ならいざ知らず、出張では移動には極力時間をかけずホテルでゆっくりしたいという「新幹線or飛行機+ホテル」派の方が多いと思います。移動と宿泊を同時に担った「銀河」は高度経済成長の時代ならともかく、今の時代には合わなくなってきたのかなと感じます。ちょっと味気ない世の中ではありますが…。
(大船駅ポスター)
さて先日東海道線・大船駅でこんなポスターを見つけました。大船駅では昨年の特急「東海」の廃止時もこんな感じのポスターを作成していました。他の駅では見かけないものです。モノクロの「銀河」の写真の下にはこんな文章が書かれています。
駅員は、見ていました。
夏休み、銀河を降りた家族連れ。まだ眠そうな兄弟。
出張でしょうか?最終の新幹線に乗り遅れたというサラリーマン。
初めてブルートレインに乗ると、カメラ片手に少し興奮してお父さんと乗っていった中学生。
乗り換えは苦手だからと、お孫さんへのお土産を抱えたおばあちゃん。
仕事は忙しいから夜行にしたというOL2人組。手には飲み物や食べ物が入ったコンビニ袋。
入学試験を受けにきたというリュック一つの関西弁の受験生。
いろんな人の思いを乗せた「銀河」を安全に送り出すことが誇りだった駅員も…
永い間、寝台急行「銀河」をご利用いただきましてありがとうございました。
「銀河」はあなたの胸の中へ、旅立ちます。
これを見て思わず感心してしまいました。文章を書いたのはおそらく大船駅の関係者だと思いますが、この「銀河」のポスターにはかなり作者の気合いを感じました。多分、これを書いた人は商売抜きで「銀河」が好きで、廃止を本当に残念に思っているだったんだろうなと感じます。文章もポスターの出来もなかなかのものです。大船駅を通る方がいれば足を止めてみてください。
廃止まであと2ヶ月を切りました。できることならまだ乗ったことのない下り列車(大阪行)に乗ってみたいものですが、果たして…。
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