岳南電車のJR硬券
(吉原駅にて)
岳南電車は吉原~岳南江尾間を結ぶ全長9.2Kmのローカル私鉄です。路線は静岡県富士市で完結しています。かつては貨物輸送を行っていて、貨物収入が旅客収入を上回っていた時期もありましたが、平成24年3月にJR貨物の合理化のあおりを受けて廃止されました。
もともと経営難だったところに、全体の収入の2割を占めていた貨物収入を失ったので、更なる経営悪化を招きました。そこで、平成25年4月に岳南鉄道から鉄道事業を分社化して「岳南電車」とし、富士市の財政支援を受けるとともに、より一層の経営合理化によって路線の存続を図ることとなりました。
その岳南電車の吉原駅ではいまや日本で唯一となったものを売っています。それはJR単独区間の硬券乗車券(以下「JR硬券」)です。吉原駅はJR側の本屋口と岳南電車との連絡口であるいわゆ「岳南口」があり、岳南口で岳南電車の係員が売っています。
JR各社から常時使用する硬券がなくなって10年ほど経ちます。私の手持ちは平成18年が最後です。社線委託改札で券売機券や軟券のJR単独区間のきっぷを売っている駅は多少ありますが、硬券を売っているのはさすがにここだけだと思います。
(近距離券)
(長距離券)
現物はこんな感じのものです。いずれも吉原駅で購入していますが、発行箇所はなぜか吉原本町駅になっています。上の券は岳南電車に移管される前のものなので(岳南鉄道)になっています。発売しているのは近距離券は吉原発190円~670円区間まで、長距離券は東京山手線内と名古屋市内着です。
(JR東海:近距離券)
(JR東海:長距離券)
(JR東日本:近距離券)
(JR東日本:長距離券)
JR東海とJR東日本でかつて発売していた硬券を並べてみました。印刷場によって様式が結構異なります。現在、岳南電車で発売しているJR硬券の様式はなぜかJR東海よりはJR東日本の方によく似ています。岳南電車の硬券を印刷している会社が千葉県にあるので、その絡みなのかもしれません。
岳南電車はJRグループと合わせて3月4日にダイヤ改正を行います。そのタイミングでJRとの連絡運輸範囲を大幅に縮小します。その際に硬券口座も整理し、吉原駅岳南口でのJR硬券の発売は取りやめる模様です。JR硬券はもうこれで最後ですので、懸案のある方はお早めに…。
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