TEXきっぷ

東海道新幹線専用ＴＥＸきっぷ

　東海道新幹線の回数券は区間や用途・綴枚数によって複数の種類が設定されています。だいたい主だったものを時期別・用途別に挙げると以下のような感じです。

●＝東・名・阪の主要区間用

○＝上記区間を含む中距離用

△＝隣接駅や近距離用

【現在】

• 「新幹線回数券（Ｇ・指・自）」                       …●△
• 「ひかり・こだま自由席（指定席）回数券」       …○△

【平成１５年の品川開業まで】

• 「新幹線ビジネスきっぷ」                           …●
• 「新幹線指定席特急回数券」                      …●○
• 「新幹線自由席回数券」                            …●○△

【平成１１年半ばまで】

• 「東海道新幹線ＴＥＸきっぷ」                       …●
• 「新幹線エコノミーきっぷ」                          …●
• 「新幹線指定席特急回数券」                      …●○
• 「新幹線自由席回数券」                            …●○△

　ここでは「東海道新幹線専用ＴＥＸきっぷ」（以下「ＴＥＸきっぷ」）を取り上げます。上の分類を見ると「ＴＥＸきっぷ」と「新幹線エコノミーきっぷ」と何が違うのかと感じる方もいるかもしれません。違いを整理するとだいたい↓のような感じです。

　　　　　　　指定席利用　　のぞみ変更　　　市内制度　　　　　発売箇所

ＴＥＸ　　　　　　　○　　　　　　追加支払で可　　　　なし　　　　　　ＪＲ東海管内のみ

エコノミー　　　　○　　　　　　　　不可　　　　　　　　あり　　　　　発着駅周辺のＪＲ各社

　「ＴＥＸきっぷ」は追加料金を払えば「のぞみ」を利用できるものの、特定都区市内制度（東京都区内とか名古屋市内）は適用されず、おまけにＪＲ東海管内でないと買えないという妙なきっぷでした。

　おまけに、ＪＲ東海でしか発売しないゆえ、指定席の交付もＪＲ東海以外の駅ではできませんでした。確か、当時の横須賀線・鎌倉駅では「ＴＥＸきっぷは取り扱っておりません」とデカデカと掲示されていた記憶があります。よって、首都圏で使うにはあまりに不便でした。「エコノミーきっぷ」との価格差はそれほどなく、個人的にはメリットよりデメリットの方が目立つきっぷでした。

　これが現物です。区間は「東京・新横浜⇔名古屋」となっていて、特定都区市内制度は全線ＪＲ東海の路線である「名古屋市内」であっても適用されていません。さらに注意書きを読むと「指定券はＪＲ東海のみどりの窓口で発行します」とか「追加額を支払ってのぞみ号に乗車できます」など特徴的なものが含まれます。

　たとえばＪＲ東海のきっぷをＪＲ東日本の駅が発売したとすると、ＪＲ東日本に何％かの手数料の取り分が発生します。また、「東京都区内」発の乗車券は東京駅から東海道新幹線を利用してＪＲ東日本の在来線を一切利用しなかったとしても、ＪＲ東日本には一定額の運賃収入が入る仕組みになっています。着も同様です。

　「ＴＥＸきっぷ」はＪＲ東海の自社のみ発売・自社区間内完結にすることによって、このようにＪＲ他社へ流出する費用を抑えるために発売したのではないかと推測しています。半分嫌がらせのような感じです。ＪＲ東海としては理想的な商品だったかもしれませんが、必ずしも利用客にとってはそうでなかったようで、３年ほどで姿を消しています。

　イマイチ認知度の低いきっぷでしたが、ＪＲ東海の黒歴史としては記録に残るんじゃないでしょうか。

Comments

[投稿情報: Yam]

便利に使ってましたけどね。黒歴史というのは人によって使い勝手が違いますからね。一般向けに株主優待に近いものを発売していた感覚で、そこをきちんと理解できている人にはどうということはないと思います。
一般的には特定都区市内制度だってわかりやすかどうかという問題もありますしね。

[投稿情報: hachi]

TEXきっぷは、東海の「囲い込み戦略」の中で生まれた「落とし子」のようなものかと思います。
東日本に手数料を渡さない、という考え方はエクスプレス予約にも受け継がれてますし。

ただ、EX-ICサービスではモバイルSuicaとの連携も図られましたので、「（利用者目線での、）正常な進化を遂げた」といっても良いかと思います。

[投稿情報: にちりん９１号]

TEXきっぷ登場時は、京阪神エリアに住んでいましたが、いろんな問題が発生しました。
指定席券の交付、乗継改札の利用等です。

JR西日本の駅には、「TEXきっぷは、JR東海の割引きっぷです、JR西日本の窓口では指定席券は発行しません」「乗継改札は使用できない」といった内容のポスターをよく見かけました。
実際の運用は存じませんが、指定席券の交付はしなっかったと思います。

隣接する東日本・西日本との調整をしないまま設定されたのかもしれません。

お客様に手間を取らせる結果となり廃止したのかもしれません。

[投稿情報: 今出川＠富山]

＞Yamさん
私はこんな制約の多いきっぷを一般向けに発売したのを疑問に感じたという視点に立って書いています。使い慣れた人が多い企業向けとかならまた違ったでしょう。立場によっていろいろな考えがあると思います。

＞hachiさん
私もエクスプレス予約ユーザーですが、モバイルSuicaとEX-ICの連携は少なからず驚きました。
あと、近々エクスプレス予約と同時予約する乗車券の扱いを終了するようですので、ある程度他社に流出する手数料についても柔軟になっているのかもしれません。

＞にちりん91号さん
これだけ制約があったので、現場では小さなトラブルが多発したんだろうなと推測しています。

[投稿情報: 根津千駄木]

>立場によっていろいろな考えがあると思います
そう思います。都区内発着に目を向ければ使い勝手の悪いきっぷでした。

ただ、TEXきっぷの重要なポイントは、それまで一切値引きもなにもなかったのぞみを変更券購入による差額調整はあれど、割引を初めて実施し風穴をあけたことにあるかと思います。

結局、のぞみ本数の増加による不便解消のためにビジネスきっぷへと移行し、自然と都区内範囲発着へとひろがったという解釈でしょうか。

なので、TEXきっぷが黒歴史というより、のぞみ特別料金とその適用特急券に対する無割引施策が黒歴史だと考えています。

結局は、エクスプレス予約の拡充、のぞみ本数の増大、品川開業、のぞみ自由席の導入とのぞみ特別料金の大幅値下げへとすすみ今があるわけですが。

[投稿情報: ^-^]

ところでTEXって何の略なんでしょう？
日本語からするとTokaido(Tokai?) EXpressなのでしょうか？

[投稿情報: Yam]

根津千駄木さん、こんなところで活動されていましたか。
以前の、

>区間変更は乗車変更に該当し、「1回限り」ですよ。
> 一度、冊子体の旅客営業規則、旅客営業規則取扱規
>定、鉄道営業法などを「よーく」ご参照されるとよろ
>しいかと思います。

の根拠教えていただけませんかね？
まさかお忘れじゃないと思いますが。

[投稿情報: 今出川]

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