Kaeruくんファイナル
平成17年3月から導入されたJR東日本の「Kaeruくん」は平成19年で新規設置がストップし、老朽化を理由に今年3月末までに全駅で撤去が完了しています。本格導入後たった6年で全面撤去されてしまったのは社内的に失敗作の烙印を押されたゆえだと推測します。
JR東日本は公共交通機関であると同時に営利企業でもありますから、売り上げ減に伴う効率化は避けて通れません。だから、閑散駅の窓口を集約・リモート管理して効率化し、窓口営業時間を短縮せずに維持する「Kaeruくん」の思想自体は決して悪いものではないと思っています。むしろ先進的だと思います。
「Kaeruくん」の敗因をいくつか挙げると、導入初期の頃のオペレーターのスキルが著しく低かったこと、機械としての性能(通話音質やタッチパネルのレスポンス)が悪かったこと、何より導入後の機能追加や改善がなく放置したことが一番大きいと思います。オペレーターのスキルは確実に向上していただけに、最後の点を怠っていなければ「Kaeruくん」はもう少し利用客にも受け入れられ、もっと長く使われたと思います。「仏作って魂入れず」とはまさにこのことだと思います。
撤去が始まった1月下旬に八王子支社管内のKaeruくん巡りをしてきました。半日かけて既に閉鎖になっていた東青梅を除く全駅を巡ってきました。その一部を掲載します。
(中神駅発行)
(東秋留駅発行)
(福生駅発行)
「Kaeruくん」撤去後に窓口発売を再開した駅はなく、「指定席券売機」や黒の多機能券売機に置き換えられました。以下の駅は「指定席券売機」が設置された駅です。
- 秋田支社…全駅(9駅)
- 水戸支社…佐和、十王、勿来、植田、常陸大宮
- 千葉支社…大貫、東金、八日市場、横芝、鹿島神宮
- 高崎支社…水上、中之条、長野原草津口、万座・鹿沢口、佐野、栃木
- 八王子支社…小作
「指定席券売機」が設置された駅はまだマシで、黒の多機能券売機は指定席の購入はおろか、自由席特急券もごく一部の区間しか購入できず、JR東日本が推進する「えきねっと」予約の受け取りすらできません。八王子支社管内では15駅に「Kaeruくん」が導入されましたが、撤去後に「指定席券売機」が導入されたのは小作駅だけ残りの駅は多機能券売機でした。「Kaeruくん」なき今、以下の場合は窓口設置駅まで出向く必要があります。
- 学割や株主優待など紙の割引証の利用
- きっぷや定期券の変更・払い戻し
- Suicaの紛失届・再発行手続き
- グリーン個室・寝台券や高速バスのチケットの購入
これら以外にも駅レンタカーや周遊きっぷ、イベント券、車椅子席の発券などもっと扱い少ないものまで挙げたらキリがないです。
JRの都合で一方的に窓口を閉鎖して不便にされているので、そういう駅では最低限窓口閉鎖駅で配布されているような「乗車票」を配るべきだと思いますが、それすら支社によって扱いがまちまちなようです。中には「きっぷを購入するのはお客様の都合ですから、(窓口設置駅まで)運賃支払って行ってください」てなことを言うとんでもない駅まであるそうです。
JR東日本はJR他社を含めた他の鉄道会社と比べて、利用客を自社の都合に合わせさせる傾向が強いように思います。それでも東の方の人間は従順で大人しく、決定事項には黙って従う傾向がありますが、西の方だったらこんなに利用客を馬鹿にした商売は成り立たないと思います。
このカテゴリーでは「Kaeruくん」設置駅でいろいろなきっぷを購入することを試してきて、記事にしなかった分を含めて「Kaeruくん」設置駅56駅中の34駅を利用していました。機械自体がもうなくなってしまったのでこれにて終了となります。
電力会社と一緒で競争が無いと好き放題ですね。
『JRは使えんから阪急使うわ~』みたいな感じでしょうか?
グリーン車を付けても満席になっているなんて関西では信じられないでしょうね。過去にグリーン車付けましたが、乗車率が悪くて廃止されました。
普通車のシートを快適にするから「JRに乗って下さい」というのが関西。
普通車のシートは不快だから「有料で乗って下さい」というのが関東。
話題とずれましたが、JR東の考え方でしょうか・・・
投稿情報: ぽろりん | 2012/06/09 09:41
この記事を見て「そういえばJR西日本にも『みどりの券売機プラス』っていうのがあったなぁ」と思い出して調べてみると、今年になって2駅増えているみたいですね。
今後、窓口閉鎖駅にはこれが入る流れになるのでしょうかね。
投稿情報: お~した | 2012/06/09 11:25
このシリーズも遂に終わりなんですね。
みどりの券売機プラスは、あまり増える気配がありませんが様子見なんでしょうか。
色々試してみたいことはあるんですが、近くに23:30までやってる窓口があるとわざわざ行くのが面倒だったりします(笑)
投稿情報: 鉄道部長 | 2012/06/09 23:01
最近のJR東日本は「エキナカビジネス」にご熱心なようですが、一体JR東日本の本業って何なんでしょうね?髙島屋と一緒で流通業なんですか?それともデベロッパーですか?JR東日本にとっての「お客様」は、エキナカでショッピングする客ですか?本業をおろそかにしているとしか思えないんですが?
投稿情報: JR束日本 | 2012/06/11 22:26
シリーズ楽しく拝見していました、八日市場駅利用者のSASUGAです。
前にも書きましたが、同駅が「Kaeruくん」になり不便になりましたが、今度は「指定席券売機」になり更に不便になってしまいました。
一方で、飯岡や外房線の乗降客数の少ない駅の方には「みどりの窓口」が残っており、また、秋田や高崎支社管内ではやっている「指定席券売機」での駅員の操作による新規の通学・障害者割引発券をやらないなど千葉支社の方針には納得できない事が多すぎます。
地方の鉄道利用の主体は高齢者と学生なのに、その両者にとって買いにくくなる「指定席券売機」は問題が多いと思います。
地方の中規模の駅では窓口復活が理想ですが、それができな
ければ、西日本のように電話予約センターを充実させて、
高齢者が券種を最寄りの「指定席券売機」で受け取り易くす
るとか、せめて「みどりの券売機+」のようにオペレーター
を呼び出せる機種にしてもらいたいと考えます。
このままでは地元の駅の売り上げが更に減少し、それを口実に
さらなる機種の利便低下を招きかねず、実はそれを一番懸念しております。
投稿情報: SASUGA | 2012/06/13 06:54
先月の日曜日、四万温泉からの帰りに吾妻線中之条駅から特急草津号に乗ろうとしたら、指定席券売機が停止中でした。午後には使えるとのこと。案内係が立ち隣の券売機を案内していました。(券売機では乗車券の範囲も限られ、特急券は自由席のみ・・)
特急停車駅で窓口を閉めること自体おかしいと思いますし、案内係を立たせるくらいなら、ちゃんときっぷを売ってほしいです。
今回はえきねっとで予約していなくて本当に良かったです。
こんなことをしているからますます吾妻線の特急は衰退するのだと思います。
乗客が減ったから窓口を閉め、かえるくん→指定席券売機のでしょうけれど、悪循環だと思いました。
投稿情報: HIRO | 2012/06/17 11:06
>ぽろりんさん
なんか前社長あたりからJR東日本の殿様商売的な面が目立つような気がします。
>お~したさん
4月に入って2年ぶりに2駅で導入されましたね。JR西日本はまだ手探り状態なのかもしれません。
>鉄道部長さん
JR東日本だとターミナル駅でも営業終了は22時とかですね。それ以外の駅でも営業時間の短縮は進んでいて、窓口閉鎖以外にも着々と改悪が進んでいます。
>JR束日本さん
好意的に捉えれば人口減を見越した鉄道以外の周辺事業の強化とも言えますが、確かに鉄道以外への肩入れが目立つ感はあります。
>SASUGAさん
最近の高速バスはネットで予約してコンビニで受け取れたりもしますから、「しおさい」の特急券をわざわざ不便な駅の券売機に買いに来ることもなくなるのかもしれません。
このまま経営方針が変わらなければ悪循環のループに突き進んでいくと思います。
>HIROさん
精算業務の都合でごく短時間(5~10分程度)だけ機械を止めることは遭遇したことがありますが、夜遅い閑散時間帯で、特急列車の時間帯に止めるなんて聞いたことがありません。ちょっとひどいですね。
駅員やバイトに案内係をさせるぐらいならきっぷを売れという点はまったく同感です。
投稿情報: 今出川 | 2012/06/20 23:51