京都フリーパス
昨年12月から今年3月にかけて「京都フリーパス」という京都市内ほぼすべての公共交通機関が利用できるフリーきっぷが発売されていました。京都市が音頭を取って、京都市内に路線を持つ鉄道事業者8社とバス事業者8社が連携して、実現できた賜物でした。
京都は戦災を免れたため、昔ながらの町並みや建物が多く残っています。反面、道が狭いゆえ道路事情は悪くいつも渋滞しており、自動車で観光地を廻るには適しません。京都市では人と公共交通優先の「歩くまち・京都」というビジョンの実現を目指しています。そのために公共交通のネットワークを構築すべく、平成22年にこのきっぷが登場しました。
利用できたのは以下の会社です。バス路線については詳細を割愛しています。
【鉄道】
- 京都市営地下鉄…全線
- JR西日本…京都~山科・亀岡・桂川・宇治
- 阪急…洛西口~河原町、桂~嵐山
- 京阪…中書島~出町柳
- 近鉄…京都~向島
- 叡山電車…全線
- 京福電車(嵐電)…全線
【バス】
- 京都市営バス…定期観光バスを除く全線
- 京都バス…京都市内均一区間
- 京阪京都交通…京都市内~沓掛西口間(原・神吉線を除く)
- 京阪シティバス…中書島・淀地域
- 京阪バス…山科・醍醐・中書島地域全域
- 西日本JRバス…京都駅~栂ノ尾
- 阪急バス…向日営業所管内全線
- ヤサカバス…全線
2000円の「フリーパス1日用」と京都までの往復JR+フリーパス2日用がありました。1日用は京都市内各所で発売されていましたが、2日用はJRの往復が伴うトクトクきっぷだったため金沢や博多といった遠方の駅での発売でした。昨年度発売分は1日用のフリーエリアにJR西日本の路線が加わるとともに、JR京都駅でも発売されるようになりました。
きっぷはJR以外の路線で利用するA券とJRのみに有効なB券の2枚がセットになっていました。A券は「スルッとKANSAI」で使用されているような磁気カードでした。
(A券表面)
A券の裏面に利用可能なエリアが記載されています。下部に「調整社局 京都市交通局」と印刷されているので、京都市交通局が取りまとめて発行しているようです。
こちらはJR部分のB券です。コピーガードは印刷されていますが、無地でJRっぽくないきっぷです。JRではない外部の会社が印刷したかのようです。発行日はなぜか「23.12.09」と予め印刷されています。右側の「改札印」の部分にチケッターを押す仕組みです。1日用のフリーきっぷなので、A券の日付と同一であることを確認してからチケッターを押すべきだったでしょうが、確認されることはありませんでした。
(阪急・河原町)
京都を観光する場合「スルッとKANSAI」さえ持っていればたいていは何とかなる感がありますが、JRもセットになっていれば言うことはありません。それに交通機関で移動するための案内冊子も付いていて、便利で親切でした。外国語版も用意すれば京都に多く訪れる外国人にもわかりやすくて便利だと思います。
ただ、残念なのは3月で発売を止めてしまったことです。いかにもお役所的です。いろいろと調整が必要なのは理解しますが、こういうきっぷは通年発売してこそ意味があり、京都市が目指したビジョンの実現につながると思います。また今年度も発売してほしいものです。
はじめまして、みやびと申します。
市内中心部だけなら市バス1日券500円。スルッとkansai 3dayチケットと比較しても割高の上、フリーエリアが中途半端なんです。
例えば、宇治の平等院。JR線は利用できますが、京阪線(宇治線)は利用できません。
京都フリーパスで乗車可能(3dayチケットに含まれていない)ヤサカバスは団地路線で観光と無縁です。世界遺産の醍醐寺へは醍醐コミュニティバスが便利なんですが、京都フリーパスでは乗車できません。醍醐寺桜シーズンの臨時快速4系統は昼間10分間隔で運転されるなど、観光客の利用が非常に多い路線が除外されています。
市内中心部を走る、京浜急行からクレームが来た赤いバス会社は元から無視されています。
JRバスも市バス8系統などで代替可能です(実際の利用はお勧めしません)
バス会社の車載システムの問題で本来なら明示的に示されたフリー区間外をシステムが有効券と判断するため、暗黙的に乗車を認めてしまった区間があります。京都フリーパスにもその様な問題区間が含まれています。観光客が利用するとは思えない区間なので表面に出てこないと思われます。最近運賃箱を更新した(システム更新)したので、現在も不都合が残っているかは調べていません。
投稿情報: みやび | 2012/05/26 22:16
私のハンドルネームは京都の今出川を使っていますが、京都在住経験はありません。京都へは観光客として年に数回行く程度です。なので本件は観光客の立場として記事を書いています。
本題ですが、このきっぷの1日2000円という値段は決して安くはないです(だから価格の評価には触れていません)し、宇治の部分はご指摘のとおりだと思います。
ただ、宇治や醍醐寺が有数の観光地であることは認めますが、京都を訪れる観光客がみな宇治や醍醐寺まで足を伸ばすわけではないです。 地元の方が観光客向けのきっぷに対しことごとく否定的に突っ込んだらキリがないと思います。
観光客としても今より改善してくれればなお良いと感じますが、1枚で「たいていの」ところは事が足りる利便性とこれを実現した京都市の意気込みは率直に評価したいです。
投稿情報: 今出川 | 2012/05/26 23:57
失礼致しました。ハンドルネールやメールアドレスから地元在住の方だと思いました。
京都観光のポイントは歩くか、迂回しても鉄道を利用するかなんです。
価格が高く一部では非常に評判の悪い京都観光一日券では京阪電車、阪急電車が使用できず、重要な南北、東西移動が地下鉄線に限定されてしまいます。
鉄道3社乗継10km程度の移動で600円~700円の運賃が必要になることもあり、市バス一日券が激安のため、コスト意識を重要視しすぎると、移動ロスタイムが累乗的に加算されてしまう問題があります。
京都フリーパスだとその問題を一気に解決できます。価格面は以前期間限定で発売されていた京都1day程度に抑えるなら売れると思います。(京都観光一日券に近鉄、京阪、阪急の京都市内、京福、時期により叡電が追加され発売額も京阪の場合、大阪-京都間の往復フリー+京都市内フリーで1700円と納得価格でした。)
京都は極端なんですよね。地下鉄1区が210円と日本一高い地下鉄運賃?に市バス1日券が最安の500円で各種観光ガイド本が激安を強調するためにへんなことになっています。
最初に購入した一日券が市電・市バス共通で小児270円(小児45円X6回分)現行の市バス1日券が小児250円と昭和53年の運賃と平成24年の運賃を比較して平成の方が安いですよ。
投稿情報: みやび | 2012/05/27 23:29