L型マルス券
年末に家の整理をしていたところ、箱に入った大量(4~500枚程度)のL型マルス券が出てきました。私の手持ちで行方不明になっていたものも混じっていましたが、ほとんどはあまり見覚えのないものでした。
L型マルス券とはなんぞや?と言うとこんな感じの横長のきっぷです。若い人だと見たことがないかもしれません。横幅180mm程度のこの紙がロール紙になっていて、ドットプリンタできっぷの内容を印字し、ミシン目で切り取ります。左右の穴は紙送り用の穴です。印字の濃さは場所によってまちまちですが、年数の割に保存性はよく劣化は少ないです。旅行会社で購入するきっぷや国鉄末期以降にマルス端末が導入された駅はだいたいこの券でした。なお、平成9年中ごろから水色の券紙のものも登場しています。
L型マルスは国鉄時代末期の昭和61年からN型端末の改良版として導入された端末です。それまでホストコンピューターまで専用回線を敷設して接続しなければならなかったものが、既存の鉄道電話回線で接続できるようになり、中小のマルス端末未設置駅にみどりの窓口が増えるきっかけになる端末でした。
手持ちの昭和60年12月の時刻表を見ていくつかの路線を調べてみたところ、当時みどりの窓口のあった駅はこんな感じでした。
(東京・大阪)
- 山手線…鶯谷、西日暮里、駒込を除く全駅
- 横浜線…新横浜、町田、八王子
- 大阪環状線…全駅
- 阪和線…天王寺~杉本町間、堺市、和泉府中、和歌山
(地方幹線)
- 東北線(郡山~仙台間)…郡山、二本松、福島、白石、長町、仙台
- 東海道線(豊橋~岐阜間)…豊橋、蒲郡、岡崎、安城、刈谷、大府、熱田、名古屋、尾張一宮、岐阜
- 山陽線(岡山~広島間)…岡山、倉敷、新倉敷、笠岡、福山、尾道、三原、西条、広島
- 鹿児島線(門司港~博多間)…門司港、門司、小倉、戸畑、八幡、黒崎、折尾、博多
大阪環状線は全駅に、山手線は鶯谷・西日暮里・駒込を除く全駅に設置されています。阪和線は大阪市内の駅を除くと堺市・和泉府中・和歌山の三駅になります。反面、地方幹線は都心に近い駅や優等列車が停車するような主要駅にしかありません。こんな感じで見事に都市部に手厚く郊外には手薄になっていました。
この間、L型マルスの投入~国鉄分割民営化を挟んで、平成元年7月までに以下の駅にみどりの窓口が設置されました。〔 〕はこの間に開業したり、既存駅に対して新たにその路線のホームが併設された駅です。
(東京・大阪)
- 山手線…鶯谷、西日暮里、駒込(全駅設置完了)
- 横浜線…東神奈川、大口、菊名、小机、鴨居、中山、長津田、〔古淵〕、淵野辺、相模原、橋本
- 大阪環状線…追加なし
- 阪和線…上野芝、津久野、鳳、東岸和田、熊取、和泉砂川
(地方幹線)
- 東北線…本宮、大河原、船岡、岩沼、名取、南仙台
- 東海道線…三河三谷、幸田、〔三河安城〕、〔東刈谷〕、共和、大高、笠寺、〔金山〕、稲沢
- 山陽線…庭瀬、中庄、金光、鴨方、里庄、松永、河内、西高屋、八本松、安芸中野、海田市、向洋
- 鹿児島線…〔西小倉〕、枝光、遠賀川、海老津、赤間、東郷、福間、古賀、筑前新宮、香椎、吉塚
民営化のサービス改善の流れもあるかと思いますが、L型マルスが中規模駅へ普及していったのが何となくわかるかと思います。
このきっぷは東海道線・三河三谷駅で発売された新幹線自由席回数券です。上にまとめた通り、三河三谷駅のL型マルスは昭和61年~平成元年の間に設置されています。L型マルスはN型マルスではできなかったトクトクきっぷの印字にも対応しています。
そんなL型マルスですが、平成15年に姿を消しています。手持ちで一番新しいものは平成10年7月だったので、私の実感としてはもっと前になくなった感がありました。
で、いま例の束をパラパラ見ているんですが、味があってなかなか面白いです。今のマルス券はJRの駅で買っても旅行会社で買っても、券紙と連番表記以外大した違いがありませんが、L型マルス券は時期や旅行会社によってフォントや印字内容ががらりと違っています。上と下の券はいずれも平成3年に発券されたものですが、明らかに違うのがわかるかと思います。
そこで束の整理を兼ね、別カテゴリーを立ててL型マルス券をボチボチ取り上げていこうかと思っています。なにぶん古い話なので間違っているところがあるかもしれませんが、その時は適宜指摘してください。こっそり修正します。
年末の小倉乗継割引のコメントでは失礼しました。
L型マルス券、懐かしいです。記憶では左上に罫線と同じ色(紫)で「国 鉄」と書かれていたのですが、そうではない券紙もあったんですね。
投稿情報: よこりん | 2011/01/03 11:51
L型は確かに小規模駅や旅行会社の一部支店に置か
れていた端末ですが、L型には専用の券はなかった
ように思いますが。
米原→名古屋のきっぷはJTBの「TRIPS」では?
東京⇔豊橋の回数券はL型のきっぷのように見受け
られますが、用紙はどちらも第2種特殊指定共通券
と思われます。
投稿情報: L1011 | 2011/01/03 17:48
>よこりんさん
手持ちでJR初期のものは「国鉄」と印刷された残券がありましたが、昭和63年前半から「国鉄」印刷のないものになっています。
>L1011さん
上の券がJTBの旅行業端末から出されたものは承知していますが、「第2種特殊指定共通券」で発見されたものを総称してL型マルス券としています。
いろいろな会社で発券されたものがあったので、それらのことを含めて今後取り上げていこうと言う方針です。
投稿情報: 今出川 | 2011/01/03 20:12
昔はPOSのある駅でも指定席はこの端末なんてパターンがありました。旅行会社のものも会社でフォントの違いがあり、それはそれで面白かったですね。
尚、駅設置の最後の端末は平成15年2月に稼動を停止したJR西日本の京都駅外国人サービスカウンターで、旅行会社の最後は平成15年7月の日通旅行釧路支店でした。
投稿情報: MT54 | 2011/01/03 23:35
こんばんは。
自分が平成11年に美祢線美祢駅で聞いた話では『L型端末廃止は、2000年問題に対応できないため』とのことだったんですが、平成15年まで使用されたことを見ると実際は違っていたんですね。
自動改札や払い戻し券自動控除への対応をすすめるための置き換えだったんでしょうね。
投稿情報: えびの2号 | 2011/01/04 19:02
>MT54さん
私がちょくちょく使っていた東海道線・大高駅はそのパターンでした。指定券以外に周遊券もL型マルスで発券していました。
>えびの2号さん
私も「2000年問題」説は聞いたことがありました。でも、実際は自動改札対応でしょうね。
投稿情報: 今出川 | 2011/01/05 23:38