羊蹄丸発行
青函連絡船の船内の案内所では青森・函館発着のきっぷを発売していました。私は実際のその時代に乗船したことはないので詳細はわかりませんが、いくつか手持ちがあるので紹介します。JR化以降の羊蹄丸のものを取り上げます。
これは船内で発売された乗車券です。それゆえ便名指定になっています。「2便」は函館を0時過ぎに出港、4時過ぎに青森に到着し、盛岡行の特急「はつかり2号」や大阪行の特急「白鳥」に乗り継げました。ところで、船内でこんなものが購入できてしまうということは、乗船時の改札はなかったんでしょうか??
ちなみに駅で購入するとごくごく普通の乗車券でした。経由がないのは連絡船に乗るのが自明だからだと思われます。津軽海峡線経由の現在の運賃(3150円)よりかなり安いです。
こちらは函館からの自由席特急券です。当時青函連絡船を挟んで特急列車を乗り継ぐ場合に特急券を同時購入すると、北海道側の特急券に乗継割引が適用されて半額になりました。青森まで特急列車を利用して連絡船に乗船していたとしたら損しています。
こちらは船内で発売されていた自由席グリーン券です。乗船後に普通船室からグリーン席に変更したグリーン券です。青森・函館どちらからでも使えるように矢印が両矢式です。青函連絡船廃止(昭和63年3月13日)より後ですが、これは後日開催された 「青函トンネル開通記念博覧会」のイベントの一環として復活運行された際のものです。
(羊蹄丸のJNRマーク)
青函連絡船廃止までに使用されていた船舶は八甲田丸、摩周丸、十和田丸、羊蹄丸の4隻でした。そのうち八甲田丸は青森港で、摩周丸は函館で保存され船内の見学ができます。十和田丸は海外に売却後解体されています。
残る羊蹄丸はイタリアのジェノバで開催された国際博覧会のパビリオンとしてイタリアで展示された後に、東京の船の科学館で展示されていました。しかし、昨年9月に船の科学館リニューアルに伴って閉鎖となりました。その後、船体は譲渡先を公募したところ、船体リサイクルの研究を行っている「東予シップリサイクル研究会」という団体に無償譲渡されることが決まりました。
船体リサイクルの研究=解体を意味します。結局のところ展示施設を有効利用する方法ではなく、解体・リサイクルの研究を通して活用されることになりました。
(チケット)
羊蹄丸は「東予シップリサイクル研究会」に引き渡された後、今年4月に愛媛県の新居浜東港に曳航されました。4月27日~6月10日に最後の一般公開として新居浜東港で展示されていたので、遠く新居浜まで行って見てきました。内部には船の科学館で展示されていた頃の立派な展示施設がそのまま残っていたので、それを活かした有効利用できないのは残念な気がしますが、最後の青函連絡船4隻中2隻はゆかりの地で保存されているので致し方ないのかなと思います。
(新居浜東港)
最後の一般公開を終えた羊蹄丸は7月に入って香川県の多度津港に曳航され、12月頃より船体の解体が始まるそうです。
こんにちは。いつも楽しく拝見しています。
青函連絡船と鉄道線の間には、中間改札はありませんでした。
ただ、中間改札のような場所で、連絡船の乗船名簿を回収していました。
乗船名簿は、本州からですと急行八甲田などの連絡列車の車内または駅でもらい、住所氏名等を記入しました。年末年始などの繁忙期は連絡列車乗客優先でした。なお、普通船室は白色、グリーン船室は緑色の用紙で連絡列車乗客用は○特とかいてありました。
投稿情報: 通行人 | 2012/09/19 19:58
確かに中間改札はなかったですね。
ただ、桟橋の部分にも外から出入りできる改札があり、ここから入れる時代もあったようです。その改札は切符を発売していない時期もありました。
また、自動車航送の同乗者、バイク等持込みの本人切符等は船内で買うように案内されていました。
ですので、連絡船の乗船券は以下のような場合のために設備されていたと思います。
・函館/青森までの切符を持っていて連絡船のみ乗船(鉄道にまたがる場合は、乗変または別途片道で出補対応)
・桟橋改札または駅改札から無札乗船
・自動車航送の同乗者乗船券、バイク等持込みの乗船券
投稿情報: かんくん | 2012/09/19 21:51
>通行人さん
ご教授ありがとうございます。乗船名簿は見たことだけはあったんですが、どういう使い方をするのかわかりませんでした。普通車とグリーン車で分かれていたり、連絡列車の車内で配られていたのは興味深いです。
>かんくんさん
乗船名簿が改札の代わりになっていたようで、わりと緩かった感じですね。私は青函連絡船に乗ることができなかったのでとても参考になりました。ありがとうございました。
投稿情報: 今出川 | 2012/09/29 01:21