塔のへつりからは湯野上温泉へ逆戻り。会津の温泉と言えば会津若松の奥座敷といわれる東山温泉が有名。東山温泉はホテルが主体だが、湯野上温泉はホテルは少なく小規模な旅館や民宿がほとんど。それに駅から近いところに温泉に入ることができるのも鉄ヲタ的には高ポイント。
塔のへつり駅に入る「AIZUマウントエクスプレス」。朝方腹の不調と戦いながら会津若松で出迎え、見送った列車が鬼怒川温泉から戻ってきたもの。2両編成の列車は半分程度の乗車率。
独特の字体の車番プレート。 名鉄では標準的に用いられている字体で、名古屋出身者にとっては懐かしい。会津鉄道に譲渡されてからも貼り変えられずそのままになっていた。
湯野上温泉へは一駅で5分。座るまもなく着いた。湯野上温泉駅は日本唯一(日本になければおそらく世界にも唯一??)の茅葺きの屋根のある駅として有名で、「東北の駅百選」にも選ばれている。入り口のアルミサッシはちょっと残念だけど、木のベンチや昔懐かしい円筒型のポストもいい感じ。無粋な自動販売機がなければもっと良かった。
駅から徒歩2分で目的地の「えびす屋旅館」に到着。走れば30秒で着ける。何年か前に偶然来て以来気に入り、これでおそらく4~5回目。会津に来るときはよく立ち寄る。ビールケースが置いてある建物が旅館だが、露天風呂は道路を挟んだ左側の銀色の車が停まっている裏手に入り口がある。
まずは旅館に行って日帰り入浴したい旨を告げて500円を支払った。「えびす屋」のHPには日帰り入浴の料金が書いてなかったのでさりげなく宣伝。今は誰も客がいないので「女湯」に入るように言われる。まぁ昼食時に温泉に入る物好きはいないか…。
旅館から道路を挟んだところに入り口があるので、黙って入ってもバレなそう(特に夜だと)だけどそこは良心の問題。「女湯」はこんな感じの岩風呂。上の写真の駐車場部分の下がこうなっている。右手の眼下には阿賀川の景色が眺められ、景色は絶景。床が乾いていたのでしばらく誰かが入っていた形跡はない。だからこうして撮れるんだけど…。
露天風呂から眺めた景色は概ねこんな感じ。この写真は風呂からではなく、風呂の上の駐車場から撮影したもの。対岸も温泉宿っぽい。露天風呂からだとちょうど目線の位置に電線が架かってて少々眺望はよくないけど、それを差し引いても紅葉や雪景色のときは絶景。今は雪が融けて春になるのを待っている状態なので、一番殺風景な時期かもしれない。今度こそは泊まりで来たいと思い早数年。
結構な長風呂を楽しんだが、結局誰も現れなかった。列車の時刻が近づきつつあったので、また駅へ戻った。駅には囲炉裏があって、火が焚かれていた。今までこの駅には何度も降りたことがあったが、時期が合わなかったり朝早かったり夜遅かったりで囲炉裏に火がついていたのは初めてだった。
駅には観光客を含め10人ぐらいいたが、列車を待っていそうな人は数人。利用客のために無料のお茶が置いてあった。コーヒーや昆布茶は有料。昆布茶があるのが渋い。コーヒーに100円払うなら昆布茶の30円の方に惹かれる。
日本唯一の茅葺き屋根の駅ということで、観光バスで来る一団もいた。バスの乗客が一斉に広くない駅舎になだれ込み、傍若無人に場所を占拠し、写真を撮り、利用客向けのお茶を例外なく飲んで、15分もしないで嵐(荒らし?)のように去っていった。
駅舎をホーム側から見るとこんな感じ。駅舎の奥の木は桜。今年は4月20~28日の間、夜間ライトアップされるそう。この時点では全然咲いていない。列車は先ほど塔のへつり駅から乗った 「AIZUマウントエクスプレス」が喜多方まで行って戻ってきたもの。これに乗って会津を縦断する。
趣味のお買い物をすべく新藤原駅で途中下車。東武の車両と離合する。ここまで南下するとちょうど桜が満開で、奥にも満開の桜が咲いていた。
新藤原駅にあった「PASMO北端の駅」の掲示。新藤原駅は東武と野岩鉄道(=会津鬼怒川線)の接続駅。PASMOは東武では使えるが、野岩鉄道では使えない。ちなみに鉄道のPASMO南端は箱根登山鉄道。新藤原~北千住~代々木上原~小田原~強羅と乗り継げば、改札を出ずに東武の始発から箱根登山鉄道の終点までスルーできる。
新藤原でお買い物を済ませた後はまたひたすら移動。下今市駅でJR直通特急の「日光8号」に乗って旅の締めくくり。日曜夕方の列車なので指定が取れるか心配だったが、実際は半分も乗っていなかった。日光や鬼怒川を訪れる観光客が減っているのかもしれない。思い残すことはないのでひたすら爆睡しようと思っていたが、新鹿沼から乗ってきた超うるさい母子連れのおかげでほぼ一睡もできず、あまりいい締めくくりではなかった。
(会津編おしまい)
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